ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐




が、その時キングギドラの背後から煙を纏った黒い巨大な手が現れ、キングギドラの中央首を掴んだ。
凄まじい熱を持ったその手はキングギドラの鱗を焼き、キングギドラに痛みを与える。
手を振り払ったキングギドラは後ろに向きを変え、翼を凄まじい量の煙の先にいる、手の主へ向けて重力波を放った。
しかし煙から放たれた高熱の波動は重力波を易々と弾き、煙に隠れていたものがその姿を現す。



ゴォガアアアアアアオン・・・



業火を思わせる背鰭、隆々とした黒き身体、白い眼光を持つ冷たい瞳。
そう・・・チャイルドが意識を失い、パワーのストッパーが外れたゴジラは、三度「真」の姿となったのだ。
キングギドラは禍々しい雰囲気すら感じるゴジラを見て一瞬恐怖を感じたが、すぐに角を光らせゴジラへ引力光線を放つ。
だが今のゴジラには全く通用せず、そのままゴジラはキングギドラへ前進して行く。
キングギドラは光線攻撃を止めると今度は飛翔してゴジラを空中から蹴り上げた。
蹴りはゴジラの体に直撃はしたが、ゴジラは微動だにせず、逆にキングギドラの足を掴むと、キングギドラを地面に叩き付けた。
危機を感じたキングギドラはすぐその場を離れようとしたが、ゴジラはキングギドラの尾を掴み、何度も何度も地面に叩き付けた。
先程の闘いとは比べ物にならない力で攻撃を受けるキングギドラの体には、早くも相当なダメージが蓄積されていた。
それでもゴジラの怒りは収まらず、キングギドラを渾身の力で放り投げると、背鰭を紅く輝かせて赤色熱線を放つ。



ビィゴオオオオオオン・・・



キングギドラは地面に激突しながら瞬時に翼で体を覆い熱線を防御するも、ゴジラの熱線を阻むのは不可能だった。



ガァヴァラララ・・・

ギリィリリリリ・・・



黄金の翼は焼き切れ、熱線を受けて無惨な姿を晒すキングギドラ。
そんなキングギドラにゴジラは容赦無く熱線を放ち、キングギドラに追い打ちをかけた。
二度にも渡る超高熱の熱線に全身の鱗を焼かれた今のキングギドラにもはや威厳ある黄金の面影は無く、黒煤に覆われた敗者の姿しかない。



ゴォガアアアアアアオン・・・



ゴジラは地面に伏せるキングギドラを睨み付け、熱線を放とうとした・・・が、キングギドラにとどめを刺そうとしたゴジラの白い瞳に映ったもの、それは息を吹き返したチャイルドであった。



ギュオオオオン・・・



すっかり姿を変えてしまったゴジラだが、チャイルドにはそれがゴジラであると分かっていた。
純真な目でゴジラを見つめ、怒りと悲しみに包まれたゴジラの心に安らぎを投じる。
それと同時にゴジラから憎しみと怒りの感情がみるみると抜けていき、ゴジラを呪縛から解き放った。
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