ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐
それから4人はケネディ宇宙センターに到着した。
受付に出入りを許可してもらい、センターの奥へ歩いて行く。
しばらく歩いていると、スペースシャトルなどが発射される広い滑走路に出た。
滑走路の中央には三つの大きな柱の様な推進部を付けた、巨大な球形の物がある。
「あれ・・・ですか?」
『そう、名付けて「H‐GⅣ」。反重力を応用した、ゴジラ発射カプセルさ。』
『理論は明らかにされていませんが、仮説では万有引力を遮断する未知の物質でカプセルを覆い、地球の引力の影響を受けない仕組みになっているようです。』
「な、なるほど・・・」
『ところで、ゴジラは真空状態でも大丈夫なんですよね?』
「はい。ゴジラの体内には核融合炉みたいな器官があって、自力でエネルギーを作り出しているので空気が無くとも活動は出来る・・・らしいです。」
『そうか。こりゃゴジラの強靭な肉体にかけるしかないな。』
「そうですね・・・それで、出発はいつですか?」
『明日には出発できます。なので今日はゆっくり休んでおいて下さい。近くのホテルに部屋を取ってあるので。』
「分かりました、ありがとうございます。」
ケネディ宇宙センターを出た志真と遥は、外で待つゴジラとモスラの元に向かった。
「モスラ、ここまでありがとう。まだ何かあるかもしれないから、もう少しいてくれる?」
カクィオオオオウン・・・
「ゴジラ、いよいよ明日だ。必ず、チャイルドと一緒に帰って来いよ。」
ディガアアアアアアオン・・・
翌日、遂にカプセルが発射される日が来た。
発射場には既にゴジラが待機しており、宇宙センターの近くには世紀の瞬間を一目見ようとする野次馬、記者達が集まっている。
『私達は今、一生に一度とない出来事と遭遇しています!ギドラ一族によって希望が失われたこの世界を救う、壮大な計画が始まろうとしているのです!』
「いよいよ実行か・・・」
いざ発射に向けて発射場前が盛り上がる一方、宇宙センターの20階では、志真と遥が発射場を眺めていた。
「はい。私達は、成功を祈る事だけしか出来ませんが・・・」
「俺達のやる事はここまで。あとはゴジラに任せるだけさ。」
「そうですね。どうか無事で・・・」
『見て下さい、この活気に満ちた発射場前を!今まで暗雲しか見えなかった日々を吹き飛ばすかのようです!』
『イェーイ!!』
『頑張れゴジラ!あんなバケモノなんてぶっ飛ばしてくれ!!』
『オレ達も力の限り応援してるからなー!!』
この様子は世界中の各報道局がこぞって発射場前に駆け付けていただけあって、どの国でも放送されていた。
人々は、再び世界が救われる様な気がしていた。
また、それを北海道・紋別市の病院のテレビから瞬は見ていた。
流石は軍人か、もう普通に歩けるまでに回復している。
「全く、まさか本当にこんなSF映画の様な事をしようとはな・・・世界中の人々が志真にでもなったのか。」
「お兄ちゃん、見て!ゴジラがロケットに入ってくよ!」
瞬が再び目をやると、ゴジラがちょうどカプセルに入って行く所だった。
そこにあの老医者が入って来る。
「こりゃ、検診の必要はなさそうじゃな。なぁ、軍人さん。」
「そうですか。それは良かったです。」
「ところで、あのバランとやらは何処かに行ったようじゃが、良かったのかい?」
「はい。俺は、あいつがしたい事をさせるだけです。」
その頃、ゴジラを載せたカプセルが今にも発射しようとしていた。
群集の盛り上がりは、クライマックスに達している。
カプセルの色が黒から銀に変わり、機内に反重力物質が満ちる。
そしてカプセルに付いた三つの推進部・・・ロケットが勢い良く点火し、まるでUFOの様な不規則な動きで空へと向かって行った。