ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐
それから2日、月は確実に地球へ迫っていた。
人々もいつも以上に大きい月を見て、再び不安に煽られる日々を過ごす。
ディガアアアアアアオン・・・
そんな最中、アメリカ・フロリダ州ケネディ宇宙センターにゴジラの咆吼がこだました。
カクィオオオオウン・・・
更にその上空では空が歪み、擬態したモスラが現れた。
その頭上には志真と遥の姿もある。
「ふう、到着・・・」
「実際に見ると凄いですね・・・」
モスラは地上に降り、2人を地面に降ろす。
するとそこへ緑色の4WDが走って来たかと思うと、2人の前で停車した。
更に4WDのドアが開き、中から2人の軍服の男が出て来た。
『アメリカ軍・空軍大尉のイースと申します。こちらは同じく大尉のウェイス。テッペイ・シマとハルカ・ヒウナ、ですね?』
「は、はい。」
あまりに淡々と日本語を喋るイースに驚きを隠せない2人。
そんな2人にもう片側の男・ウェイスが話し掛ける。
『オレは空軍のウェイス。ところでそこの嬢ちゃん、歳いくつ?』
『ファック!こんな時にナンパするな!すみません、こいつ変な理由で日本語覚えまして・・・あっ、私は日本人の案内をいつも任されている故、日本語を話せますのであしからず。』
「そ、そうなんですか・・・」
――・・・うーん。
私、こんな光景を何処かで見た事がある気が・・・
『先に申し上げますが、NASAはゴジラ打ち上げ計画への協力を約束しました。』
「ほ、本当ですか!」
『ゴジラ専用カプセルは我々アメリカ空軍の協力の元、あと一歩で完成します。我々は貴方達を迎えに参りました。』
「なるほど・・・」
『さぁ、どうぞ。』
志真と遥は4WDに乗り込み、2人に連れられてケネディ宇宙センターに向かった。
ゴジラは後を追おうとしたが、遥から事情を聞いたモスラがゴジラを静止する。
グルルルル・・・
目の前の施設へ去る志真を、ゴジラはただ見守っていた。
その頃、車内ではウェイスが軽い口調でまた2人に話し掛けていた。
『聞いたぜ、シマ。これまで無茶な事ばっかしてきたんだって?』
「ま、まぁ・・・」
『オレには分かるぜ。男には、無茶してでも何かしたい時があるよな!』
「そ、そうですね。頭より先に体が動いてしまうと言うか・・・」
『そう言う所、勇敢でかっくいいと思うぜ。ところで嬢ちゃん、3サイズいくつ?』
『ファック!お前はいい加減にしろ!俺達はもう少し、遠慮するべきなんだ・・・』
『お、おう・・・悪かったな、嬢ちゃん・・・』
それ以降、あれだけ騒がしかったウェイスが急に静かになった。
イースもまた、黙々と運転を続ける。
その様子を見て、志真と遥の頭にある出来事がよぎった。
そう、約2年前に起こったラドン事件だ。
「すみません・・・あの・・・」
『言いたい事は分かります。一応、私達なりに反省しているつもりです。』
『オレ達から見てもあれは酷すぎた・・・嫌われて当然だよな。』
「いえ・・・そうではありません。私達はお気になさらないで下さい、と言いたかったのです。」
「確かに貴方達のした事は大罪です。しかし、そうして罪を感じている人がいると分かっただけでも、私達は安心しました。」
『お2人共・・・!』
『申し訳ねぇ・・・いくら謝っても足りないくらいなのによ・・・』
「私達は、貴方達を嫌悪したりしません。ですから、いつも通りに接して下さいね。」
にっこりと微笑む遥。
その笑顔を見たイースとウェイスは、心から解放された気分になった。