ゴジラ‐世紀の大怪獣‐
翌朝、志真は東京港に停泊する調査船「あかつき」の前に来ていた。
と、そこへ軍服の男がやって来た。
「貴方が志真さんですね。」
「はい。」
「神島調査隊隊長の浜です。自衛隊から派遣されてきました。よろしくお願いします。」
「こちらこそ。」
2人は挨拶と握手を交わし、港を歩く。
「それで、いつ出発の予定ですか?」
「放射能測定機を詰め込めば、いつでも出発できます。」
「放射能?」
「はい。今朝明らかになった事ですが、島に多量の放射能が確認されたそうで。あと、島の爆発を見ていた人がこちらに預けられています。」
浜は志真を東京港から少し離れた所にあるテントに案内した。
そこには2日前「いっかく」に乗っていた漁師がいた。
漁師はひどく怯えており、浜の話では同じ事しか話さないらしい。
「日東新聞社の志真です。早速ですが、貴方は島で何を見たのですか?」
志真はいつもの口調とは考えにくい、ジャーナリスト調の言い方で漁師に質問する。
漁師の言葉は震えてよく聞き取れなかったが、ただひたすらに何かの事を喋っていた。
「と、突然光って・・・そ、そっちを見たらし、島が爆発して・・・そ、そ、そして・・・」
「どうしたのですか?島で何が?」
漁師はそこで一旦口を閉ざすが、志真は再び質問する。
漁師はなおも黙り込んだままだったが、突如こう叫んだ。
「か、かっ・・・・・・怪獣がいたんだあああああっ!!」
漁師はその場にうずくまり、それ以降何も話さなかった。
しばらくして漁師は病院に運ばれて行かれ、漁師を心配しながらも2人はテントを出る。
「しかし、あの人は何を見たのでしょうか?」
「相当怯えていた所を見ると・・・かなりショッキングなものを見たのは確かだと思います。」
「そうですね・・・んっ、無線が・・・ちょっとすみません。」
『こちら、明石。出発の準備が整いました。』
「分かった。すぐそちらに向かう。」
「そろそろ出発ですか?」
「そうですね。さあ、行きましょう。」
それから10分、志真と調査隊を乗せたあかつきが無事東京港を出た頃、志真は甲板で考え事をしていた。
――・・・一体、島で何があったんだ?
さっきの人は島で怪獣を見たって言った気がするけど・・・まさかな。
「ふぁーっ・・・ちょっと寝るかぁ・・・」
志真は甲板を去ると、仮眠室へ移動した。
そして二段ベッドの下に入り、そのまま深い眠りに付いた。