ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐
一方、ゴジラはナイトギドラを追い、小笠原諸島にまで戻って来た。
当のナイトギドラはまだ飛行を続けていたが、海上にある島を見付けた瞬間、高度を下げてその島へ向かった。
ナイトギドラが向かおうとしている島、それは何とチャイルドが一人待つ鍵島であった。
ディガアアアアアアオン・・・
チャイルドの身を案じたゴジラはナイトギドラの背後から熱線を放ち、ナイトギドラを撃墜しようとした。
だがナイトギドラはゴジラの熱線をかわし、速度を上げて島に急接近する。
ゴジラは何度も熱線を放って何とかナイトギドラを島へ近付けんとするが、全て回避されてしまう。
そしてナイトギドラは島の砂浜に上陸した。
ギュオオオオン・・・
同じ頃、チャイルドは森の中で今か今かとゴジラの帰りを待っていた。
するとその時、砂浜の方から何か大きな生物が入って来た様な轟音が聞こえて来た。
幼心に少々不信に思いつつも、ゴジラを待ちきれないチャイルドは砂浜に向かう。
木々を掻き分け、森を抜け、砂浜に着けばゴジラがいる・・・筈だった。
しかしそこにいたのは見た事の無い、龍の怪獣であった。
ギャララララララ・・・
チャイルドに危機が迫る中、紋別の山々を覆う爆煙がようやく止んだ。
爆煙の先には、激しい傷を負ったカイザーギドラがいると瞬とバランは思っていた。
が、そこにいたカイザーギドラは到底劣勢とは思えない、平然とした表情をしていた。
ギィィィィィィン・・・
グァララララララ・・・
バランの渾身の真空圧弾を受けてもなお、その自信は揺らいでいない。
「奴は・・・奴は、阿修羅か・・・!」
瞬とバランはカイザーギドラの怪獣離れしたポテンシャルに驚愕しながらも、再びカイザーギドラへ闘いを挑んだ。
今度はバランが正面からカイザーギドラに突っ込み、背後からむささびでサポートする作戦だ。
グウィウウウウウウン・・・
バランはある程度カイザーギドラに近付くと大地に手を叩き付け、岩流を放つ。
しかしカイザーギドラはデストロイド・カイザーで岩塊を止めたかと思うと、そのままその一点に反重力光線を放ち続けた。
すかさず瞬はミサイルをカイザーギドラの頭めがけて発射したが、何故かミサイルはカイザーギドラに着弾する前に動きを止め、空中へ持ち上がって行く。
「なっ・・・ミサイルが・・・!」
更にむささびまでも自由が効かなくなり、周りの木や土と共に空へ浮かんでいった。
その一方でバランはまるでとてつもなく重い分銅にプレスされているかの如く身動きが取れなくなり、地面にひれ伏す形となってしまっている。
そう、カイザーギドラが反重力光線を地面に放ち続けた事により、この山々一帯に重力異常が発生したのだ。
「奴め、二種類の重力操作までも・・・!」
その間にもカイザーギドラは身動きの出来ないバランに迫って行く。
そうはさせないと、全く言う事を効かないむささびを、必死に動かそうとする瞬。
と、その時突如重力異常が緩和されていった。
――・・・機体が動かせる!
今のす・・・
しかし、それはカイザーギドラが反重力光線の放射を止めたという事でもあった。
地面へ放射されていた反重力光線の次の発射点は、隙だらけで空中に浮かぶむささびだった。
「なっ・・・!?」
むささびは反重力光線を避けきれず、カイザーギドラの思うがままとなった。
カイザーギドラはそのままむささびを操り、勢い良く山肌に叩き付けようとする。
バランはボロボロの体でカイザーギドラを止めようとするも、カイザーギドラの二又の尾による一撃がそれを許さない。
そして、無情にもむささびは山肌に墜落させられてしまった。
――・・・バラン・・・
すまないが、後は頼んだ・・・ぞ・・・
凄まじい音を立て、むささびは山の下へ墜ちる。
爆発こそしなかったが、機体の各部は多大な損傷を受け、瞬は墜落の激しい衝撃を全身に受けた事により、意識を失った。
グウィ・・・ウウウ・・・
眼前で倒されてしまった瞬に、バランは激しい喪失感と悲しみを覚えた。
だが、カイザーギドラはバランに悲しみに浸る余裕すら与えず、バランの頭と右手の甲を踏み付けると、バランの力を全て吸い尽くさんとバランに牙を向ける。