ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐





「バラン・・・!」



心の中で、瞬は必死にカイザーギドラへの恐怖と立ち向かう。



――どうした、今まで怪獣など平気だっただろう・・・
俺の心は、バランに頼らなければ宇宙怪獣に屈する程に軟弱になったのか・・・!
こんな時、あいつなら・・・志真ならば、威圧さえはねのけて・・・!



ふと、瞬の頭にこれまでの志真の言動が過る。
あくまでも普通の一般人であるのに、その身を挺して何度も自分達自衛隊に意見したり、潜水艦で日本海溝へ向かったり、水爆が迫る中ラドンを救う為に大阪に残ると宣言したり・・・
行動は無茶ながら、志真が何かに臆する場面を殆ど見た事がなかった。



――・・・ふっ。
今の俺を見たら、志真は笑うだろうな・・・
志真だけじゃない・・・東や西、妃羽菜もそうだろう・・・
・・・あいつに笑われる事だけは・・・勘弁だ!



瞬は薄く笑みを浮かべると全てを振り切り、レバーに掛けられた手を動かした。
空中に止まっていただけのむささびも再び動き出し、正面のカイザーギドラへ向かって行く。
そして瞬はミサイルでカイザーギドラの三つ首を正確に狙撃した。



ギィアアアアアアン・・・

グァウウウウウウウ・・・



カイザーギドラもこの不意打ちには対処出来ず、噛み付いていたバランの体を離した。
エネルギーを奪われるも、何とか地面に着地したバランは力を込めてカイザーギドラの胴体を両手で切り付け、カイザーギドラに隙を作る。
それを突いて瞬はむささびを旋回させながら爆雷をカイザーギドラの背中に直撃させ、カイザーギドラの注意を引く。
カイザーギドラは突如乱入して来たむささびの方へ振り向きデストロイド・カイザーを放つが、むささびの高い機動性には追い付けず、死角から放たれたバランの棘を首元に受ける。
力こそ及ばないが、バランと瞬は阿吽の呼吸で少しずつカイザーギドラを追い詰めていった。



ギィィィィィィン・・・

グァララララララ・・・



この状況に苛立ったカイザーギドラは魔の翼で飛び立ち、空中からバランに反重力光線を浴びせる。
しかしそこにむささびが爆雷をカイザーギドラへ撃ち、反重力操作を阻止した。
カイザーギドラはむささびを始末せんと向かって行くが、むささびは急速に降下し、地面に衝突する寸前にまた上昇する。
その素早い動作にカイザーギドラは対応出来ず、地面にぶつかりかけるも上手く着地した。
だがそれこそ瞬の狙いであり、既に空中に待機していたバランがカイザーギドラの背後に付く。



グウィウウウウウウン・・・



そして背後から響く咆吼に気付いたカイザーギドラが振り返ったその瞬間、バランは特大級に吸引・凝固した真空圧弾を撃った。
カイザーギドラはすぐデストロイド・カイザーで相殺しようとしたが、むささびのショットガンに阻まれ、真空の弾丸はカイザーギドラに直撃した。
辺りにガソリンタンクが爆破したかの様な、凄まじい衝撃波が起こる。



「これで・・・奴も深手を追っただろう・・・」
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