ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐
「まずい・・・このままでは、バランが倒されてしまう・・・!」
遠く離れた場所から闘いを見ていた瞬だったが、その圧倒的な力の差にただ呆然とするしかなかった。
頭は早くバランを援護しに行きたいと思うも、カイザーギドラから滲み出る威圧感は瞬の生存本能を刺激し続け、腕を動かす事すら許さない。
――くっ・・・!
こんなにも恐怖を感じたのは、初めてだ・・・
しかし、それ以上にここまで悔しい思いをしたのは、もっと初めてだ・・・!
動け、俺の腕よ・・・!
言う事を聞かない己の体に、瞬は悔しさを募らせる。
だが、その間にもカイザーギドラはデストロイド・カイザーでバランを持ち上げ、容赦無く地面に叩き付ける。
そのまま更にバランを引き摺らせながら山に衝突させると、今度はバランの辺りにある沢山の岩を浮上させ、バランにぶつけた。
すると大量の砂埃が周辺一帯に散り、著しくカイザーギドラの視界を奪う。
グァルルルル・・・
その隙を突き、バランは一気にカイザーギドラに接近すると、カイザーギドラの足に渾身の力を込めて尾をぶつけ、カイザーギドラを転倒させた。
そしてバランは至近距離からカイザーギドラへ真空圧弾を撃った。
ギィアアアアアン・・・
グァウウウウウウ・・・
カイザーギドラの悲鳴と共に大爆発が起こり、辺りは再び爆煙に包まれる。
やがて、その中からバランが皮膜を広げて飛び出して来た。
至近距離から真空圧弾を撃った影響で少し巻き添えを受けたが、致命傷に繋がってはいなかった。
「やった・・・か?」
少しずつ消えていく威圧感に、瞬は安堵を覚えた。
だがバランは後進して爆煙から距離を取り、まだカイザーギドラが倒されていない事を感じていた。
そしてそれは爆煙の先から飛んで来た反重力光線によって、現実となる。
「・・・!」
瞬も自らの体を襲う威圧感でカイザーギドラの存在を感じたが、時既に遅し。
バランが放った棘も弾き、反重力光線はバランを捕らえてしまった。
カイザーギドラはバランを自分の眼前に引き寄せたかと思うと、バランの右腰・左肩・右首筋に噛み付いた。
しかもそれと同時にバランの体から出る赤色の光がカイザーギドラの頭に吸収され、首を伝って体へと消える。
そう、相手のエネルギーを吸い取ってしまうカイザーギドラの技、「ギガ・ドレイン」だ。
グガア・・・アアアン・・・
バランの全身からみるみる力が抜け、鳴き声も弱々しくなっていく。
もはや抵抗する力も無く、カイザーギドラの思うがままだ。