ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐
ガァアアア・・・
ガァアアア・・・
無論、N波の濃度が最も大きいのは日本であり、ここ北海道・紋別の地にいるデスギドラはもはや再起不能となっていた。
瞬はむささびを駆り、抵抗もままならないデスギドラ達をドミノを倒すかの如く駆逐していく。
「N波の効果が出てきたか。ギドラ達よ、この日本が戦場だったのが運の尽きだ。」
また、バランと交戦していたデスギドラにも異常が起こっていた。
明らかに動きが鈍くなり、首もだらんと下に垂れる。
グウィウウウウウン・・・
バランは怪力を引き出してデスギドラを押し放つと、その長い尾をデスギドラにぶつけた。
デスギドラは地面に倒れるも反撃とばかりに火流光線を繰り出すが、弱まった威力の光線はバランに届かない。
更にバランはデスギドラと距離を取り、針千本を撃つ。
デスギドラは棘を回避する事すら出来ずに全発見舞い、簡単に隙を見せる。
そしてその隙を突き、バランは真空圧弾をデスギドラに発射した。
ドコオオオン・・・
弾丸はデスギドラの胴体に直撃し、大爆発を起こした。
それと同時に、むささびの爆雷が最後の群れのデスギドラを駆逐した。
「よし、駆逐完了だ。」
瞬もバランも、これで全てが終わったと思っていた。
だが爆発による煙が止んだ時、その考えは覆された。
ガァアアアアン・・・
そこにいたのは、バランの圧弾によって爆散した筈だったデスギドラであった。
しかもN波による影響とはまた違う、まるで脱皮をする様な痙攣を起こしていた。
「・・・!」
そのおかしさに気付いた瞬は急いでデスギドラにショットガンを撃つが、デスギドラは微動だにしない。
更に痙攣は激しくなったかと思うと、頭部の構造が徐々に変化し始めた。
それに伴い前足、後足、胴体、尾、翼と変化していき、赤い表皮は黒銀色の肉体へ肥大化していく。
今にも攻撃を繰り出さんと再び戦闘体勢に入ったバランの目に映ったもの、それはもはや別の怪獣と化したデスギドラだった。
ギィィィィィィン・・・
グァララララララ・・・
他のギドラ一族を軽く超える体躯、黒銀に輝く重厚な表皮、邪の印象を与える鋭った翼、そして雷鳴に映し出される、威厳に満ちた邪悪な形相。
そう、このデスギドラの正体はギドラ一族の帝王「カイザーギドラ」だったのだ。
「変・・・態しただと・・・!?」
カイザーギドラから発せられる威圧感に瞬もつい畏縮し、息を飲んでしまう。
しかし、既に戦う覚悟が出来ていたバランは威圧にも恐れず、カイザーギドラに闘いを挑んだ。
バランは牽制とばかりに針千本を放ち、全て直撃させる。
だがカイザーギドラは表情すら変えず、悠然とバランへ向かって行く。
再びバランは針千本を試みるもカイザーギドラを止める事は出来ず、その身を使ったぶつかり合いとなった。
二倍近い体高の違いがありながら、バランは必死にカイザーギドラを押し戻そうとするが、カイザーギドラはそれを軽く一蹴した。
グガアアアン・・・
強烈な一撃に、バランは地面に倒れ込む。
更にカイザーギドラは口から反重力の光線「デストロイド・カイザー」を放つと、バランに当てる。
すると光線に包まれたバランの体はいとも簡単に浮き上がり、身動きがとれなくなってしまった。
カイザーギドラはそのまま光線を動かしてバランを山々へ誘導させ、山肌にぶつける。
バランが激突した山は崩れ去り、ふもとに落下したバランに落石として襲いかかった。
「あのバランが、あんなにも簡単に・・・一体、奴の力はどうなっているんだ・・・!」
その現実離れした能力に瞬はただ驚愕するばかりだった。
その間にもバランは再び立ち上がり、皮膜を広げて念動波をカイザーギドラに浴びせるも、やはりカイザーギドラには全く通用せず、カイザーギドラは再びバランに迫りつつ光線を放った。
グウィウウウウウン・・・
だが、すんでの所でバランは皮膜で飛翔して光線をかわすと、カイザーギドラの周辺を一周しながらその様子を伺う。
カイザーギドラは光線を動かしながらバランを頭で追うも中々バランに当たらず、辺りの木々が浮き上がっては落下する。
そしてカイザーギドラが光線の照射を止めた事を見越したバランは大空へ舞い上がり、カイザーギドラがいる真下へ真空圧弾を撃った。
弾丸は真っ直ぐカイザーギドラへ向かって行き、バランも連撃を与えるべく降下する。
ギィィィィィィン・・・
グァララララララ・・・
しかしカイザーギドラは弾丸に怯みもせず、デストロイド・カイザーを放った。
弾丸と光線は空中で衝突し、激しい押し合いを繰り広げるが、少し経たぬ内に弾丸の威力が急速に低下したかと思うと、弾丸ごと光線は降下中のバランに直撃した。
予想外の出来事に回避出来なかったバランは爆煙を上げて地面へ落下し、カイザーギドラの足元に落ちた。
そんなバランを、カイザーギドラはその実力の差をバランの身と心に刻ませるかの如く、何度も何度も蹴り付ける。