ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐







この放送は「全世界緊急生放送」と言う名目の元、全世界のテレビと言う媒体全てに放送された。
もちろん、世界中の人々がこの放送を見た。だが、志真を笑う者は殆どいなかった。
こんな冗談をテレビで流す余裕なんて無い事は誰もが分かっていて、何よりも真剣な顔付きで話す志真の姿に、偽りを感じられなかったからだ。
やがて映像が黒一色の画面に変わり、世界中の人々はありとあらゆるテレビの音量を最大に上げ、外に出た。
シェルターに閉じ籠っていた人々も、普通の会社員や学生も、黒い肌や金の髪をした人達も。
更に老人や病人までもが窓から空を見つめ、純朴な子供にもこの不思議な雰囲気は伝わっていた。
地球全土に不可思議なN波がこだまするこの空を人々が見上げる理由・・・それは只一つ、ギドラ一族によって絶望に覆われたこの世界に、一筋の光が射す予感がしたからだ。






そして、N波の影響はじわじわと効果を表し始めていた。



キリリリリ・・・

キリリリリ・・・



ロシアの上空を飛んでいたソルジャーギドラの群れが突如もがき、続々と地上に落下していった。
落下した後も痙攣を起こしながらギドラ達は力無く鳴き、地面を這う。
もちろんここだけで無く、ギドラ一族の異変はロシアを中心にして波紋状に広がっていった。



ギィウウ・・・

ギィウウ・・・



イタリア共和国・タラント湾を我が物にしていたアクアギドラの群れもまた、同様の異変をきたしていた。
それを半数以上の損耗を受けながら、戦いを続けていたイタリア海軍は見逃さない。



『艦長、宇宙生物達が攻撃を止めました!』
『今こそチャンスだ!一斉砲撃開始!』



艦隊は一斉に群れへ砲撃を開始した。
N波に苦しめられるアクアギドラの群れが無数の砲撃に太刀打ち出来るわけがなく、一体、また一体と駆逐されていく。






ギャラララララ・・・



同刻、ペルー・ナスカの地上絵の上空をナイトギドラとペルー軍の航空部隊が飛んでいた。
やはり、このナイトギドラもN波の影響を受けて弱っている。



『こちらウォール5、ナイトギドラは順調に衰弱しています。』
「こちらウォール1、ナスカの地上絵に叩き付けるわけにはいかない。今は機銃で対応せよ。」
『了解、了解。』



部隊は機銃の乱れ撃ちでナイトギドラにダメージを与えていく。
尖兵ギドラの中では高い能力があるナイトギドラも、N波の状況下では部隊に防戦一方だ。
体力は削られ、今までの優勢が嘘の様に追い詰められたナイトギドラは逃げる事しか出来ず、やがて地上絵の範囲から出た。
そしてそれを待っていた部隊はナイトギドラにミサイルの照準を合わせる。



「ミサイル、発射!」



部隊の戦闘機から一斉にミサイルが発射された。
ナイトギドラは何とか電圧光線を撃って二発撃破するが、まだ残っていた五発のミサイルがナイトギドラに命中する。
そしてミサイルの第二波が、完全にナイトギドラを駆逐した。
この功績に、ついガッツポーズを取る隊員達。
世界はN波の力により、少しずつ変わろうとしていた。
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