ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐
翌日、まだ朝日を迎えていない北海道・紋別市の山中に突如轟音が響いた。
山を覆う程に凄まじい煙が立ち、そこへ数体のデスギドラが飛んで来る。
だがどのデスギドラも何故か苦しそうであり、山に降り立つや否やすぐに木々のエネルギーを吸収し始めた。
しかしデスギドラ達はエネルギーを取り込む間も無く、煙の中から飛んで来た無数の棘の攻撃を受けた。
それに怒ったデスギドラ達は一斉に煙へ火流光線を放つが、標的はすぐに飛び上がって光線をかわす。
やがて煙を裂いて現れたのは、バランだった。
グウィウウウウウン・・・
デスギドラ達は上空のバランに光線を放つも、威力の低い光線群は皮膜によって全て防御され、両腕を広げた直後に放った真空圧弾によって一体駆逐された。
今度は煙の中から大きめの火流光線が飛んで来たが、バランは難無く光線を避ける。
やがて土煙が晴れ、出てきたのは群れのボスと思しき巨大デスギドラだ。
どうやらこのデスギドラは弱っていないらしい。
ガアアアアアン・・・
巨大デスギドラは辺りで弱っているデスギドラに命令するかの如く吠えるが、それでなくとも弱っていた所をバランの棘によって更に衰弱したデスギドラ達はエネルギー吸収に夢中であり、中々バランへ向かおうとしない。
ガァアアアアアン・・・
その反応に苛立った巨大デスギドラは威嚇とばかりに光線をデスギドラ達に向かって放ち、強制的にバランへ向かう様に促す。
光線につい脅えたデスギドラ達はエネルギー吸収を止め、飛び上がって上空のバランに向かった。
デスギドラ達の一幕を見ていたバランは皮膜で体を包んでデスギドラ達に備えるが、そこへ無数の爆雷が飛んで来た。
爆雷はバランには一つも当たらず、全てデスギドラ達に当たる。
そして白銀の光塵を撒いて現れたもの、それはむささびであった。
「・・・久しぶりだな。」
その頃、ロシアから日本に帰って来ていた志真は東京都・西東京市の空港のロビーにいた。
「ふう、ちょっと行っただけなのに懐かしい感じがするなぁ・・・さて、行くか。」
志真は服や機材が入ったトランクをロッカーに預けると、必要最低限の荷物だけ持って空港を出た。
それから志真は空港前に停まっているタクシーに向かうと、運転手に行き先を伝えてタクシーに乗り込む。
そしてタクシーは快速を保ちながら目的地へ向かった。
しばらく中国で撮った写真を眺めていた志真だったが、そこへ運転手が話し掛けてきた。
「そうだ、お客さんもしかしてどっかの記者の人?」
「はい。日東新聞で記者をしています。」
「やっぱりね~、何年も運転手してると、身なりだけでどんな人か分かるもんで。」
「流石はベテラン。私はまだ働いて数年くらいの新人ですので・・・」
「えっ?そういう雰囲気には見えなかったけれど。」
「そうですか?」
「何というか、ただ者では無い感じがしたからかなりの実績があるのかなって思って。」
「・・・そんな事無いですよ。私はただのしがないジャーナリストです。」
「そう・・・最近勘が鈍ってきたかな・・・?」
運転手との話の中で、志真はふと昨日の出来事を思い出していた。
――そういえば、昨日もこんな事言われた気がする・・・
あっ、そうだ!ロシアの日本大使館だ!