ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐




だが小美人の願いも虚しく、モスラはクィーンギドラの思うがままに蹴り飛ばされ、力無く倒れる。
するとモスラの形態変化は解け、「ノーマル」体に戻されてしまった。



カクィ・・・オオウン・・・



ノーマル形態は水中での戦闘・移動を考慮されていない為、あまり身動きはとれない。
また体力が尽きてしまった今、もうアクア体になる事も、逃げる事も出来ない。
しかしアクアギドラ達は容赦無くモスラに光線を浴びせる。
そして海底に倒れるモスラへクィーンギドラが近付き、右足を上げてモスラを踏み付けようとした・・・と、その時モスラの全身が白く輝き、クィーンギドラを吹き飛ばした。
突然の反撃に怯みつつも体勢を立て直したクィーンギドラは再びモスラに近付こうとするが、逆に光を纏ったモスラに弾かれた。
そのままモスラは立ち塞がるアクアギドラの大群を一気に退けると、海上へと向かう。






「・・・!」



場所は変わって日本・京都。
遥は高校の屋上で白に光るペンダントを天に掲げ、モスラに力を送っていた。
モスラが力を取り戻したのも、再び起き上がれたのも、遥の「愛」の支援があったからだった。



「モスラ・・・負けないで・・・!」






カクィオオオオウン・・・!



その声に応える様にモスラは力強く羽ばたき、海から脱出する。
海上には複数のギドラ達が待ち受けていたが、遥の力と祈りが込められた光はそれらを寄せ付けない。
モスラは猛スピードでナイトギドラ達の脅威が迫るインファント島へ向かう。
それと同時にモスラの体が巨大に、神々しく変化していく。






ギャラララララ・・・



そのインファント島では、既にナイトギドラが島に到着していた。
大群は停止し、一斉に電圧光線を島に放とうとする。



『『・・・!』』



だがそれでも小美人は祈りを捧げたまま、島から出ようとしなかった。
この島を救う為、向かってくる一つの光を感じていたからだ。
そして、ナイトギドラ達が光線を放とうとした・・・次の瞬間。
背後から現れた光が、大群を殲滅させた。
光はそのまま島の広場を守る様に動きを止め、具現化する。



カクィィィィィオウン・・・



『『モスラ・・・!』』



そう、「エターナル」体に姿を変えたモスラだ。
モスラは小美人に頷くと背を向け、触覚からプリズム光線を放って島に迫る三筋の光線を受け止める。
やがてモスラの目に見えたのは、背後から浮上して来ていたクィーンギドラだった。



キィエエエエウン・・・

キィエエエエウン・・・



クィーンギドラは真っ直ぐモスラへ向かって来るが、モスラは口から瞬速の雷「迅来」を放ち、クィーンギドラの進行を阻止する。
更にモスラもまた極彩色の翼を羽ばたかせ、クィーンギドラへ向かった。
二体は高速の速さでぶつかり合うや天空へと上昇し、何度も衝突を繰り返す。
クィーンギドラは鞭と光線を使いモスラに攻撃を加えるが、モスラには全く効く様子は無く、逆にモスラは平然と攻撃を受けながらプリズム光線と迅来を交互に放ち、クィーンギドラにダメージを与える。
怒ったクィーンギドラはモスラに急接近すると右と左の首がモスラの翼に噛みつき、残る真ん中の首が近距離で光線を放とうとした。
しかし、その寸前にモスラは迅来を発射し、クィーンギドラを退ける。
更にプリズム光線を放ってクィーンギドラに追い打ちをかけると、全身に雷を宿らせた。
海面にまで追い詰められたクィーンギドラは光線を放つも、モスラは全てかわして行く。
そして苦しみ紛れに突っ込んで来るクィーンギドラにモスラは光の速さで相手に突撃する「電光降雷撃」を浴びせた。



キィエエ・・・エエウン・・・



クィーンギドラは自分が倒された事も分からないまま光の粒子となり、消え去った。



カクィィィィィオウン・・・



闘い終わったモスラはインファント島に戻ると、命枯れ果てた島に光の雨・エターナルシャワーズを降らせる。
降り注ぐ七色の水は瞬く間に植物を生き還らせ、崩れた大地を元に戻して行った。



『モスラ、本当にありがとう・・・』
『この島に、再び平和が戻った・・・』
『あと、遥さんにもお礼を伝えないといけないわね。』
『島が救ったのは、遥さんでもあるから。』



小美人は空高く手を掲げ、遥に感謝の気持ちを伝えた。






「本当ですか!よかった・・・」



小美人の言葉を聞いた遥は、心から安堵した。



――はい。島が救われたのも、モスラと貴女のお陰です。


「いえいえ。私は力を貸しただけで、闘ったのはモスラです。」


――それでも私達は、貴女に感謝していますよ。


「ありがとうございます。私に出来る事なら、いつでも・・・そういえば、まだあの侵略者達は世界中を破壊しています。モスラの傷が癒えたら、また力を貸してくれますか?」


――分かりました。
モスラにそう伝えておきますね。
それでは・・・





そこでペンダントの光が消え、小美人の意思は去った。
それと同時にかなりの力を使っていた遥は、屋上のフェンスにもたれ掛けた。



「ふう・・・結構力を使っちゃった・・・でも、早く教室に戻って授業を受けないと・・・」



遥は教室に戻ろうとしたが、フェンス越しに空を見上げ、こう思った。



――なんで、日本だけこんなにも平和なんだろう・・・?
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