ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐
「・・・るか、遥!」
何かの声と振動により、そこで遥の意思は現実に戻された。
ゆっくり目を開けると、辺りには制服を来た若者達、前には白文字で複雑な法則が書かれた黒板と初老の教師、そして隣には馴染みの親友の姿が見える。
そう、ここは遥の通う高校で、授業の難しさについ遥は眠っていたのだ。
「あれ・・・?私、寝てたの?」
「うん。珍しいわね、遥が授業中に居眠りするなんて。まっ、気持ちは分かるけど。」
「やっぱり、理科は苦手・・・」
――じゃあ、さっきの小美人さんの言葉も夢?
・・・いや、あれは夢じゃない!
夢な気がしないもの!
でも今授業中だし、どうしよう・・・
遥はしばらく考えた後、ある答えに行き着いた。
それを実行に移す為、遥は痛そうに下腹をさすり始める。
「うっ・・・」
「遥、どうしたの?」
「・・・けっこうきついみたい・・・」
「えっ、本当!?」
「だからごめん、ちょっと保険室に行って来るね・・・すみませーん!」
何とか仮病を使って教室を抜け出した遥は後ろめたさも感じつつ、急いで階段を上って行く。
目指すは屋上だ。
同刻、東京・自衛隊本部基地から一隻の飛行機が飛び立った。
その白銀に輝く機体は、何者も寄せ付けないかの如く空を駆ける。
機内では無線の相手が声を荒げながら、ひっきり無しに乗組員を呼んでいる。
『戻れ!お前はまた本部に逆らう気か!』
「俺は言った筈だ。お前達の為じゃない、俺自身の誇りと人々の為に戦うと。」
『お前はこのまま処罰されてもいいのか!』
「法律など、俺を縛る蔦にはならない。」
『いいから戻れ!瞬!』
「この瞬間、世界中で戦いが起こっているのに誰1人出動させないとは、新しい総理大臣はやけに呑気だな。今こそ日本は何の被害も受けていないが、攻撃されてからでは遅い。」
『いくらお前が特佐とはいえ、単独行動は許されんぞ!』
「宇宙生物の群れが北海道に迫っている。それでもか?」
『だがしかし・・・!』
「もう一度言おう。俺が守るのは政府じゃない、人々だ。」
『ま・・・』
そう言い残し、瞬は無線を切った。
そして操縦レバーをぐっと前に動かし、更に機体を加速させる。
「ふう・・・全く、今の俺を見て、昔の俺は何と言うだろうな。」
白銀の兵器・むささびはスラスターを一層強くふかし、瞬の思いを乗せて空の彼方へと飛んで行った。