ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐
『モスラ、大丈夫かしら・・・?』
『きっと大丈夫、信じましょ。』
その頃、インファント島では小美人が祈りを捧げながらモスラの身を案じていた。
モスラは昨夜からギドラ一族を倒しに島を出たっきり、島へ帰って来ていなかったのだ。
モスラの活躍で幸い島はギドラ一族に襲われてはいないが、小美人はずっと自分の力を酷使し続けるモスラが心配でならなかった。
『それにしても、何故この辺りにはこんなにも悪意が溢れているの・・・?』
『世界の何処にも悪意が無い所なんて無いけれど、この周辺だけ異常・・・』
その時、小美人は辺りに溢れる悪意とは比べものにならない程の悪意を感じた。
何かがここへ降りて来ると思った刹那、更に島を揺るがす地震が起こる。
大きな何者かがこの島に降り立った様な、そんな揺れだ。
『何かが・・・』
『来た・・・!』
だんだん気配が近くなってくるのを感じた小美人はふと、空を見上げた。
だがそこに広がっていたのは空では無く、巨大な三つの頭だった。
キィエエエエエウン・・・
キィエエエエエウン・・・
それは紛れも無いギドラ一族だったが、顔付きはやや柔和であり、大きさも明らかに違った。
しかしながら目的はこの島を破壊する事に変わりは無いようだが。
『あれはまるで・・・女王!』
『モスラを呼びましょう!』
小美人は両手を高く広げ、モスラを呼び戻す為に美しい歌声を辺りに響かせる。
その声は近海にいるモスラに届き、モスラを島に向かわせた。
キリキリキリリ・・・
キリキリキリリ・・・
後方からソルジャーギドラが追ってくるが、モスラは上空に舞い上がると体に炎を纏い、ファイヤー・ヒート・タックルでソルジャーギドラを一気に殲滅した。
クィキウィィン・・・
ソルジャーギドラを殲滅したモスラは力を温存する為「フェアリー」体になり、急いでインファント島へ向かう。
緑の光に包まれたモスラは目にも止まらぬスピードで海を越え、空を飛ぶ。
しばらくしてようやくインファント島が見えて来たが、その光景は今まで見た事が無い程に凄惨な光景だった。
木は燃え、地は割れ、花は力無く枯れている。
そしてその光景の中に、一体のギドラ一族がいた。
鞭の如くしなる尾、モデルのようにスラリとした銅色の体、胸と下部に生えた大きな鱗、柔和な顔付きをした三つ首。
そう、ギドラ一族の女王龍「クィーンギドラ」だ。
カクィオオオオウン・・・
「ノーマル」体に戻ったモスラはクィーンギドラに光子ネットで攻撃するが、クィーンギドラは意にも介さず再び小美人がいる広場へ向かう。
そうはさせないとモスラは突風を浴びせるも、クィーンギドラには全く効いていない。
キィエエエエウン・・・
キィエエエエウン・・・
なおも強風を浴びせ続けるモスラにクィーンギドラは三つの口から「超音波光線」を放った。
三筋の光線は風を突き抜け、モスラに直撃する。
その威力に怯みつつもモスラは体勢を立て直し、今度は翼を広げてクィーンギドラに突撃した。
だがクィーンギドラは上空に飛翔してラリアットをかわすと、再び光線を放つ。
カグィィィィオウン・・・
モスラは「ファイヤー」体に変化し、光線を回避した。
しかし明後日の方向へ飛んで行く筈の光線達は向きを変え、クィーンギドラへ向かっていくモスラを背後から襲った。
予想外の攻撃にモスラは回避する事が出来ず、再び攻撃を見舞う。
それでもモスラは攻撃に耐え、クィーンギドラへフレイム・シュートを撃った。
クィーンギドラは火球を横に流すが、二度目の火球が正面に直撃した。
が、当のクィーンギドラは平然とした顔をしている。
『モスラ、弱ってる・・・』
『ずっとその身を犠牲にして、戦っていたからだわ・・・』
苦戦するモスラの様子を見守っていた小美人だったが、やはりモスラが今までの連戦で弱っていた事に気付いていた。
『それに、相手の力が強大過ぎる!』
『・・・遥さんに、この事を!』
モスラはその時、体を燃やしてファイヤー・ヒート・タックルをクィーンギドラに浴びせようとしていた。
するとクィーンギドラは二又の尾からエネルギーの鞭「ツイン・ウィップ」を出した。
そして素早く振り返り、光の鞭をモスラにぶつける。
一度目こそは何とか耐えれたが、両翼を交互に攻めた二度目には耐えられず、業火に包まれるインファント島に墜落してしまう。
更にクィーンギドラは容赦無く地面に倒れるモスラへ鞭を浴びせ続ける。
モスラは少ない体力を奪われ続け、徐々に衰弱していった。