ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐
やがて2人は応接室に着いた。
応接室も部屋と呼ぶにはとても大きく、この広さならパーティーも出来るな・・・と志真はひっそりと思った。
2人は中央の机を挟んでこれまた大きなソファーに座る。
『よし、早速話を聞こう。確か・・・』
「メテオ墜落の詳細についてです。」
『・・・そうだったな。』
マルコはまるで話すのを躊躇う様にしばし顔を下に向けていたが、やがてその顔を上げ、口を開いた。
『我々はメテオが墜落したと聞いた時から、ある恐ろしい仮説を立てていた。メテオの残骸を回収し、解析した結果、それを確信した。』
「何をですか?」
『メテオは寿命では無く、外敵からの攻撃を受けて墜落したのだ。そしてそれは我々が恐れていた「ギドラ一族」の仕業。』
「ギドラ一族?」
『宇宙の星々を破壊する、宇宙最強の一族。王・帝王・女王の命令に従い、常に群れで行動すると言われる。今地球を襲っている宇宙生物は、このギドラ一族と見て間違いない。』
「な、何ですって!」
驚きの表情を隠せない志真だったが、すぐ質問を返す。
「その、根拠は?」
『ミスター志真、君は「ツングースカ事件」を知っているかね?』
ツングースカ事件・・・それは1908年、ロシア・ツングースカの森林で起こった謎の大爆発の事である。
ソビエト科学センターが派遣した調査チームによって何度か調査が行われ、宇宙から降った隕石が原因と言われているが、それを立証する確かな証拠は無く、また爆発地点の木々は重力に逆らう様に折れ曲がっていたという。
「はい。知っています。今だその原因が謎に包まれている、隕石衝突事件ですよね。」
『そう、皆は原因が謎だと思っているだろう。しかし当時民衆の混乱を防ぐ為に公表されなかったが、既に事件の真相は掌握されていた。』
「真相を?」
『この事件と「キングギドラ事件」には、密接な繋がりがあったのだ。』
「キングギドラ事件・・・確か、ツングースカ事件と同じ場所、同じ時期に黄金の三つ首龍の姿をしたUMAが目撃された事件ですよね?」
『そう。その黄金に輝く体は100mを超え、二本の尾と二対の翼、三つの首を持った姿は王者の風格すら漂わせていたとされ、誰しもが「キングギドラ」と呼んだ。』
「『龍王』、とでも言いましょうか・・・」
『更に、岩石や木々がまるで重力に逆らう様に浮き上がる重力異常も見掛けられたらしく、その後キングギドラはすぐに空の彼方へと去って行ったと伝わっている。」
「重力異常・・・ですか。」
『今でもそうだが、この事件は最初民衆がツングースカ事件による騒動を維持させる為に言った、虚言であると考えられていた。当時、日露戦争後でソビエト全体が混乱していた時で、ツングースカ事件は全く調査されなかったからだ。
しかしその後も各地で先の様な重力異常が観測されるようになり、ようやくソビエトはツングースカ事件の調査に乗り出した。そして原因を掴み、それを極秘理にしたまま今に至る。しかし、ミスター志真なら私の言いたい事が分かるだろう?』
「・・・ツングースカ事件の犯人は、キングギドラですね。」
その言葉を聞き、マルコは志真に感嘆の拍手を送った。
『素晴らしい。流石はジャーナリスト。』
「重力に逆らう様に、と聞いてなんとなく。もしツングースカに落ちた隕石の正体がキングギドラなら、異様に曲がった木の件や現場で隕石が発見されなかったのも納得いきますし。」
『そうだ、そうだよ。隕石自体が動いたのだから証拠が見付からなくて当然だ。実はこの説が公表されなかった要因の一つに、こんな事を世間は信用するわけがないというのがあったのだが、現に今、その仲間が地球を襲っている。』
「今?・・・まさか、ギドラ一族とキングギドラは!」
『そう、同種族だ。「ギドラ一族」もキングギドラからとった仮の名前。念の為、大気圏外で何か異常がなかったかNASAへ問合せてみると、ゴダード宇宙飛行センターから2日前の大気圏外にて黄金の三つ首龍が目撃されたという証言が入った。更にその時キングギドラ事件を知っていた者がいたらしく、その者の勧めでこの事も一般には公表されなかった。』
「つまり、キングギドラが再び地球へ来ている可能性も・・・」
『十分ある。』