ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐
宇宙生物の来襲から程なくして、北朝鮮・平壤地下のシェルターに世界各国の代表が集まっていた。
本来はロシアとの臨戦状態を止める為に集まったのだが、開口一番に口を開いたのは当の北朝鮮代表だった。
『我々はロシアとの臨戦状態を解き、その兵力を全て宇宙生物へと向ける。』
この唐突な一言に各国の代表は唖然とした。
まさか話を切り出す前に北朝鮮がこんな事を言うとは思わなかったからだ。
しかし北朝鮮としては今こうしている間にも宇宙生物が地上を破壊している以上、ロシアへ攻撃しているどころでは無いというのが本音であった。
『それでは、もうロシアへの敵対心は無いんですね?』
『その通り。ただ今はそれどころではないと言うだけで、ロシアがもしこのままメテオ落下の件を説明しないなら、再び臨戦状態に入るつもりだ。』
『その件に関して、ロシア代表はどう思いますか?』
『我々としても北朝鮮の姿勢は本当に有難い。しかし、それでも落下の件については何も説明するつもりは無い。』
『でもねぇ、それじゃあ何の解決も・・・』
『今は言い合っても仕方ありません。最優先すべき事は、宇宙生物に対する対策です。』
『その件は各国が各々に対策を取れば良いのでは?』
『確かにそうだが、それだと宇宙生物に国境を越えられてしまうともう対策が取れなくなる。戦争でも無いのに自軍の兵器を他の国に入れるのは非常に好ましくないし、軍事力が小さい国では満足な対策も取れない。』
『では、今回は特例として他の国にも戦車等の兵器を進撃させても良い事にしませんか?もちろん宇宙生物の駆逐で出た被害を除いて、建築物や自然への破壊活動を行わない事を絶対条件に。』
『私達は別にかまいませんよ。』
『我々も同じく。』
『今は緊急事態だ、仕方あるまい。』
『よし、満場一致だ。無断でこの星を破壊する宇宙生物達に、総攻撃を仕掛けるぞ!』
「そうだ!我々の力を見せてやる!」
『・・・すまないが、私はここで失礼させてもらう。』
会場が宇宙生物駆逐に奮起する中、ロシア代表であるマルコは急いで会場を去ってしまった。
『マルコ代表、どうなされました?』
『これから大切な用事があるんだ。もちろん、我が軍も総攻撃には参加するから安心したまえ。』
『外は危険ですので、気を付けて下さい。』
『了解している。』
この一報は直ぐ様全世界に流れ、各国の軍隊はすぐ様戦闘体制に入った。
どこの国でも空を戦闘機が飛び、海を戦艦が通り、陸を戦車が走っていた。
また宇宙生物の被害が及んでいない国では、国家を上げた大規模な避難がなされていた。
大抵の国は地下に建てたシェルターに避難させていたが、避難施設の無い一部の国は大きな洞窟や、他の国へ避難させたりしていた。
『係員の誘導に従って、ここから速やかに避難して下さい!』
『こちらです!こちらへ!』
『中には小さいお子様もいらっしゃいます!押さないで下さい!』
『宇宙生物はこの国に迫っておりません!落ち着いて避難しましょう!』
『大丈夫です!まだ定員は十分にあります!』
そんな中、日本・飛彈山脈の一角である犬ヶ岳の頂上にバランの姿があった。
グウィウウウウウン・・・
バランは空を見上げると力強く両手を上げ、皮膜を広げた。
地面に積もる残り雪が宙に舞い、射してくる太陽の光に反射して眩いばかりの輝きを起こす。
そしてバランは山を蹴り上げ、天空へと飛んで行った。