ゴジラ7‐来襲・宇宙超怪獣‐







北朝鮮の声明発表から数時間、日が西へと沈み始めていた頃、沈黙を保っていたロシアが遂に会見を開き、ある声明を発表した。



『我が国は北朝鮮の攻撃に対し、いつでも反撃の体勢を取れる用意が出来ている。』





この声明は全世界に波紋を広げ、諸外国は両国の争いを止めようと仲裁に入った。



『確かに広大なロシアの方が軍事力は高いだろう。しかし、これで良いのか?』
『北朝鮮もまだ結論が出ていないのに、何故宣戦布告とも取れる声明を出したんだ!』
『もし北朝鮮で核開発が今だに進んでいる話が本当なら、その性能を試すいい機会とでも思ったのだろう。』
『それよりも、どうしてメテオが落下する事を黙視していたのかの説明が先だ。』
『これは第三次世界大戦に繋がる危険性があります。今すぐ臨戦状態を解いて下さい。』





しかし、両国は仲裁を聞き入れる事は無く、更に北朝鮮の戦闘機がロシアへ向けて出発してしまった。






その頃、北朝鮮の国境に最も近い街である中国・丹東では市内に集まった民衆が空を見上げ、指差していた。
そう、ウォルヴィスベイの空に現れていた影が、ここ丹東の空にも現れていたのだ。
しかもこの影が観測されたのはウォルヴィスベイで影が観測された時と、全く同じだった。
そしてその民衆の中に、一眼レフを持って影を撮る志真の姿もあった。



「・・・確かに大きくなってるな。あの影。」



北朝鮮が声明を発表した頃から影を取り続けていた志真だが、今まで撮った写真を見比べると、明らかに影は巨大になっているのが分かった。
今や影は空に浮かぶ雲と同じ大きさにまでなっている。



「ウォルヴィスベイに現れた影も同程度大きくなっているとなると、やっぱり二つの影の正体は同じ、か。そういやもうすぐ北朝鮮の戦闘機がここを通過する頃か・・・嫌だなぁ、全く。」



ふと、空を見上げた志真は影の活動が活発になっている事に気付いた。



――んっ?影の動きが、何だか活発になってないか?
こう、あの中に無数の小さな物が動いてるみたいな・・・



その時、北朝鮮の戦闘機が列を成して市内上空を通過し、南の方向へと向かって行った。
行き先はもちろんロシアであり、民衆の間に今度は戦争への不安がよぎる。
それもその筈、中国は北朝鮮とロシアの間に位置する国であり、もしあの戦闘機が爆撃を開始し、それによって戦争へ発展したならば当然この国も戦場になる、という事だからだ。
だが・・・その爆撃が開始される事は無かった。
戦闘機は全て突然空から飛んで来た槍の様な光線に撃破され、市内に落下したからだ。



「!?」



幸い戦闘機が落下した辺りに人はいなかったが、それ以上に民衆は空からの攻撃に脅えていた。
しかし一部の人々、そして志真は光線が何処から飛んで来たかをしっかりと見ていた。
そう・・・あの空に浮かぶ影からだ。



『ど、どうなったんだ?』
『戦闘機が、撃破された・・・』
『俺は見た!あの雲みたいなやつから光線が飛んで来るのを!』
『私も見たわ!間違い無い、攻撃したのはあの雲よ!』
『何だって!?』



パニックに陥った人々は市内から離れる為、一斉に郊外へ走りだした。
そんな中、志真は逃げ惑う人々を掻き分けながら一眼レフで影を撮り続ける。
そして空に異形の者の叫びが響き渡り、立ち止まって振り返った人々は影の正体を見た。
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