ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐




ゴジラは背びれを青々とより強く光らせると、体を素早く一回転させた。
そしてゴジラは強化熱線「ハイパー・スパイラル熱線」を放った。



ドゥイイイイイイイイイン・・・



螺旋を描き、凄まじい早さで熱線はアンギラスへと向かう。
二体が急いでアンギラスから離れたと同時に螺旋熱線はアンギラスの腹に直撃し、アンギラスの体を空中へと持ち上げて行く。



ギャウウウウウウ・・・!



螺旋熱線に腹を貫かれたアンギラスは関ヶ原の空に断末魔の悲鳴を響かせ、黒き煙となって消えていった。
巻き起こる大爆発は暗雲に覆われた暗い夜空を、明るく染め上げる。



ディガアアアアアアオン・・・


グウィウウウウウン・・・


カクィオオオオウン・・・



高らかに響く三大怪獣の咆吼。
むささびは地面に着陸し、志真達も外へ出た。



「これで、終わった・・・戦いは。」
「そうだ。まだ『問題』は残っている。」



するとゴジラがゆっくりとこちらに向かって歩いて来た。
ゴジラは手に持ったアンギラスの角を力を込め、砕く。
そしてゴジラが掌を開くと、少し衰弱した切也が出てきた。



「ここ、は・・・?僕、助かったの・・・!?」
「こんにちは、切也君。いや、もうすぐおはようかな。」
「本当に子供だったのか・・・」
「切也君、ゴジラが捨て身で助けてくれたから、今ここにいるんだぜ。」



しかしその事を聞いた瞬間、切也の顔が振るえ始めた。
確かに助けてもらった事は嬉しい、喜びたい。
しかしその反面、切也にはやるせなさもあった。
何故、ゴジラの事を憎んでいた自分を、ゴジラは助けたのか・・・と。



「・・・ッ!!」



そして切也は周りに散らばっていた角の破片を拾うと、ゴジラの手を叩き始めた。



「お、おい、何して・・・」
「なんで・・・なんで、助けたんだ!!僕は・・・僕は、お前を憎んでたんだぞ!!お前の事を、殺そうとしたんだぞ!!」
「切也君・・・」
「なんでなんだ・・・なんでそんな僕を、お前は助けられるんだよぉ!!」



ひたすらゴジラの手を傷付けていた手が、ふと止まる。
いつの間にか、切也の目は今にも溢れん限りの涙でいっぱいだった。
やはり切也は、心の底ではゴジラの事を大好きでいた。
時間があれば紙にゴジラの絵を描いていて、よく先生に怒られた。
テレビでゴジラが怪獣と戦っていた時、周りの誰よりも喜んでいたのは切也。
ゴジラを馬鹿にするクラスメイトをつい殴ってしまい、喧嘩騒ぎになった事もあった。
そんな日々を、思い出したのだ。



「うっ・・・なんで・・・なんで・・・」
「それは、君が一番知っているんじゃないか?」



志真のその一言に、下を向いて必死に涙を堪えていた切也の顔が上がる。



「聞いたよ。本当はゴジラの事、心から大好きなんだって。そんな君が分からない筈がない・・・ゴジラって、そういうヤツだろ?」
「・・・」
「もうこの子は大丈夫だ、ゴジラ、降ろしてやってくれ。」



ゴジラは丁寧に切也を地面に降ろす。
破片を離し、おずおずと切也は掌から出た。



「あと、少し追加だ。半年前ゴジラは、あいつ・・・バランを止める為に闘った。だがその後のバランは、以前まで今のお前と似ていた。事態の元凶を作ってしまった自分を責め続け、その責任を取りたいと思いつつも、つい周りを頑に拒んでいた・・・しかしバランは勇気を持って心を開き、犯してしまった惨事の責任を果たす為、ここまで立派に闘った。お前にも出来ない筈が無い。」



瞬は厳しくも、何処か柔らかく切也に語り掛けた。
2人の優しさに触れた切也の頬を、一筋の涙が伝っていた。
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