ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐




その頃、切也の周りを黒い煙が包んでいた。
煙に包まれるにつれ、切也はだんだん自我を失っていくのが分かった。
そう、この黒煙はアンギラスの意思そのものであり、アンギラスは力付くで切也を憎しみに縛り付け、ただの力の供給源・・・道具にしようとしているのだ。



――アンギラス!もういいんだ!もうやめて・・・くれ・・・



――切也君!しっかりして!きり・・・
きゃあああっ!!



遥の意思も、アンギラスによって再び飛ばされてしまった。
その間にも黒煙は切也の体を覆って行き、薄れ行く意識の中・・・切也は決意した。
自分さえいなくなれば、全てが終わると。



――今の、僕には・・・こんな事しか出来ないけど・・・せめて・・・



切也の両手が僅かに動き、おずおずとその手を自らの首に向かわせる。






「切也君・・・ううっ!」
「遥ちゃん!一体何が・・・」
「切也君が、切也君が!!アンギラスに支配されてしまいます!!」
「くっ!仕方あるまい、むささびで救助に・・・!」
「瞬、待て!あれを!」



今にもむささびのレバーを動かしかねない瞬を、志真は静止した。



「何だ!一刻を争うこの時に・・・」
「いいから、早く外見ろ。俺達が手出しする隙は無いみたいだぜ・・・」



慌てて目線を外に向けた、瞬と遥が見た光景。
それは、切也が取り込まれたアンギラスの角を掴むゴジラの姿だった。
アンギラスは体を揺すって必死に抵抗し、ゴジラを振り払おうとする。
だがゴジラは意地でも角を離さず、更に角へ力を込めた。
ピシッ・・・と生々しい音を立てて角にひびが入る。



ギャエエエエエエン・・・



その音に焦りと怒りが頂点に達したアンギラスは、右足の爪を伸ばし、ゴジラの左肩に食い込ませる。
黒く固い皮膚が砕け、ゴジラは苦痛の表情を浮かべるが、それでも握った角は離さない。



ディガアアアアアアオン・・・!



ゴジラは力強く空へ一吠し、そしてアンギラスの角を叩き折った。



ギャアウウウウウウウウウウウァ!!



この世の物では無い悲鳴を上げ、アンギラスはじたばたと地面をもがく。
しかしそんなアンギラスを三度起き上がったバランとモスラがアンギラスの尾を、頭を押さえる。
アンギラスは二体を振り払おうとするも、エネルギーの源を絶たれたアンギラスの体に力は入らない。
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