ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐




「これなら、勝てそうですね!」
「奴は完全に三体のペースに嵌っている。何か奥の手でも隠し持っていない限り、勝ち目は少ないだろう。」
「ああ。でも・・・何か変だ。」
「変?」
「なんて言うか・・・ゴジラが闘ってない。」



そう、先程から積極的にアンギラスと闘っているのはバランとモスラであり、ゴジラは全く闘いに加わっていなかった。
まるでアンギラスを避ける様に。



「そういえば、そうですね・・・」
「志真、何か心辺りはないか?」
「何かって言われてもな・・・そういや2人が来る前、アンギラスの角に触ってから・・・・・・」


――・・・角?
はっ、そうだ!アンギラスは中に取り込んだ人間の負の力を源にし、活動してる・・・つまり、何処かに取り込まれた人間がいる筈・・・!
くそっ!何で今まで気付かなかったんだ!


「どうした?」
「多分、俺の考えが正しければ・・・アンギラスの中央の角の中に、人がいる!」



志真のその一言に、皆は驚きを隠せなかった。


「えっ!?」
「何だと?」
「アンギラスの力の源は取り込んだ人間から発せられる、負のエネルギー・・・つまり奴の体の何処かに、取り込んだ人間がいるはずなんだ。ゴジラは偶然取り込まれた人間がいる角を掴み、そこで何かを見た。」
「ゴジラが戦意を失うなんて、余程の事ではないですよね・・・」
「あと、これも信じたくなかったけれど・・・恐らく、取り込まれている人間は半年前、ゴジラとバランの闘いで学校の先生やクラスメートを奪われた少年、赤城切也君だ。」
「えっ・・・?」
「あくまで仮説の域だけど、アンギラスの魔獣像があった村から切也君が消えた翌日、魔獣像が壊れてアンギラスが覚醒してる以上、間違いでも無いと思う。」
「小美人さんの話に出てきた少年・・・それが、切也君・・・」
「もしそれが本当なら、迂濶にアンギラスを攻撃する事は出来ない。万事休す、か・・・」
『『いえ、一つだけ方法があります。』』



失意に駆られる3人に助言したのは、遥の掌にいた小美人だった。
その声は、決して希望を捨ててはいない。



「何か手があるのか?」
『『志真さんの説は、恐らく正解だと思います。今は影を潜めていますが、先程アンギラスから何か憎しみに満ちた少年の声が聞こえました。』』
「じゃあ、やっぱりアンギラスの中に・・・」
『私達の力では、声を届ける事はできません。』
『ですが「愛」の結晶を使えば、声も届くでしょう。』
『『遥さん、お願いします。どうかその「愛」を、願いを少年に伝えて下さい。憎悪に縛られた少年を解放する為に。』』
「・・・わかりました。やってみます。」



遥はそっと小美人を志真に渡し、首のペンダント・・・「愛」の結晶を握りしめた。
それと呼応する様にペンダントが白く光る。
そして遥は目を瞑り、ペンダントに思いを込めると、アンギラスの中にいる切也へ語りかけた。
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