ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐






同刻、ゴジラもまた逆転を果たしていた。
あれほどゴジラを翻弄していたウルフォスだが、先程のゴジラの一撃が効いたのか、少々動きが鈍くなってきた。
こちらに向かって走って来るウルフォスも、ゴジラには直視できる早さだ。
ウルフォスは後ろ足をバネにゴジラに跳びかかるが、ゴジラは頭を下げ、背面切りをウルフォスにお見舞いする。
鋭い背びれに体の右脇を切り裂かれ、ウルフォスは地面に倒れ込む。
だが、ゴジラは容赦なくウルフォスに近付き、右足でウルフォスを蹴り飛ばす。
少し宙を舞い、再びウルフォスはゴジラから離れた。



「ゴジラ!今、奴は弱ってる!その隙に熱線でとどめを差すんだ!」



志真の言葉にゴジラは深追いを止め、背びれを青く光らせる。
ウルフォスは体を震わせながら何とか立ち上がるも、時既に遅し、ゴジラは口から熱線を発射した後だった。
最後の力を振り絞り、ウルフォスは熱線を横飛びでかわすが、熱線はウルフォスの後を追い、そのまま直撃した。



ウォアアアン・・・



ウルフォスもまた黒煙となり、爆発した。
しかしいつもなら高らかに勝利の雄叫びを上げるゴジラが、雄叫びを上げなかった。
そう、まだ倒すべき敵、アンギラスが残っているからだ。






しかしモスラ側だけは、有利とは言える状況ではなかった。
決死のファイヤー・ヒート・タックルをイーブルスにかわされたのだ。
モスラの全身を覆っていた炎が消える。



「どうしよう・・・このままじゃ魔獣に勝てない・・・」
『あの魔獣は速さと力は高いですが、防御性はそう無いようです。』
『どうにかして、一撃で倒せたら・・・』
「一撃・・・」



何か打開策を考えつつ、遥はモスラの戦いを見守る。
モスラは再びイーブルスに接近し、体熱によってイーブルスにダメージを与えていた。
イーブルスは苦しんではいるが、やはり大した威力にはなっていない。
形態変化にも限度がある為、この状況が続けばいつかモスラは勝手にノーマル体に戻ってしまう。
そうなれば、また反撃されるのは目に見えている。



――ダメ、何も浮かばない・・・
でもこうしてる間にも、モスラの形態変化の限界が・・・形態変化?
そうだ!


「モスラ!アクア体になって!冷たい一撃で、熱い魔獣を貫くの!」



遥の助言を聞いたモスラは腹に火球を作り出し、零距離からフレイム・シュートを撃った。
辺りに爆発が起き、爆炎に包まれてイーブルスは地面に落下する。
しかしモスラは逆に空へ向かって上昇し、空中で「アクア体」へと変化した。



クィオオオオオオン・・・



そしてモスラは体を地上へ向けると、口から水流の光線「水波砲」を放った。
まるで槍の様に鋭い光線は真っ直ぐ、かつ容易くイーブルスの胸を貫く。
凄まじい一撃にイーブルスは悲鳴を上げるが、モスラは更に体を回転させて気流のバリア「流防陣」を纏うと、そのままイーブルスへと突っ込んだ。



ピャウウウウ・・・



冷気の渦となったモスラはイーブルスの体を貫き、イーブルスに引導を渡す。
やはりイーブルスも黒煙と化し、爆発を遂げた。
その下を、ノーマル体に戻ったモスラが通る。
険しかった遥の顔が、ようやく綻んだ。
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