ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐




と、その時突如何かの棘が高速でホーエンスに向かって行き、そのままホーエンスに直撃した。
これはかなり威力があった様だ。



ズゥゴォォォ・・・



「これはバランの棘か?だが、水中でここまで素早く飛ばない筈・・・」



ふと、後ろを向いたと同時に瞬はその答えを知った。
そう、バランは水中で静止していた棘を念動波に乗せて飛ばし、早さと威力を上げたのだ。



「ほう・・・中々頭がいいな。」



更にバランは体を丸めると、勢い良く回転し始めた。
それと共にバランの周りを縦に描く様に光の輪が出来ていく。
そしてバランは一瞬早く回転し、同時に光輪を前へ打ち出した。
光輪は凄まじい早さでホーエンスへ直撃するが、爆発は起こらずに眩いばかりの光の粉が辺りに弾けた。
しかしそれを受けたホーエンスは力を失い、海底にぐったりと倒れ込んだ。



――まるで満月・・・
さしずめ「満月輪」か。



バランは海底に倒れるホーエンスを掴むと、海面へと向かった。
むささびもまた二体の後を追う。
ホーエンスは悪あがきとばかりにその巨大な口でバランの肩に噛み付いたが、バランは全く怯まない。
そしてバランは肩からホーエンスを引き離すと、ホーエンスを海面に引きずり出し、そのまま渾身の力を込めて上空へと放り投げた。



ズゥグゥゥゥゥゥ・・・



もう抵抗する力も無いのか、ホーエンスは無力に空中へ飛んで行く。
しかし波立つ水渋きの最中、バランは口中に空気を凝縮していた。
水渋きをも巻き込み、激しく渦巻く真空の弾丸が形を成していく。
そして水渋きが治まったその時、バランは真空圧弾を発射した。



ドコオオオン・・・



真空の弾丸が発射されたと同時に、巻き込まれた海水は勢い良く弾け飛んだ。
弾丸はホーエンスへと向かい、ホーエンスの腹に直撃した。



ズゥガアアアア・・・



苦痛の悲鳴を上げ、ホーエンスは黒い煙となって大爆発を起こした。
水平線を飛び越え、バランの咆吼が響き渡る。



グウィウウウウウン・・・



「・・・流石だな。山神。」
30/42ページ
スキ