ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐
一方、ゴジラは完全にウルフォスのペースにはまっていた。
目でウルフォスを追えども、体がついて来ない。
やみくもになって熱線を放つも、全てかわされてしまう。
まさに、「堂々巡り」の状態だ。
「まずい・・・このままじゃゴジラの体力が尽きるのは、時間の問題だ・・・」
――落ち着け、志真哲平・・・
何か、俺に出来る事がある筈だ・・・!
例えばあの魔獣の行動とか・・・行動?そうだ!
「ゴジラ!わざと隙を作るんだ!そいつは、隙が出来たと思った時に一瞬踏み留まる!そこを逆に突くんだ!」
志真のアドバイスに冷静さを取り戻したゴジラは目を瞑り、改めてウルフォスを心で感じ取った。
しばらくしてウルフォスが走る音が、瞬間的にだが止まったのをゴジラは察した。
そして次の瞬間、ゴジラは尾を勢い良く背後から跳び込んで来たウルフォスにぶつけた。
ウォアアアン・・・
ゴジラの尾はウルフォスの腹に直撃していた。
全身が岩の様に堅いウルフォスも、腹だけはそうでなかったのだ。
悲鳴を上げながらウルフォスは吹き飛ばされ、琵琶湖の水辺に叩きつけられた。
辺りに凄まじい量の水渋きが舞う。
「よっしゃ!」
だが、その一方でバランは苦戦を強いられていた。
何とかホーエンスを富山湾にまで押し返したが、それはホーエンスが最も得意とする海中戦に持ち込む事を意味していた。
針千本は水の抵抗力に阻まれて威力は落ち、岩流は海底にいなければ使えず、更に簡単に避けられてしまう。
まともに使えるのは念動波のみであり、真空圧弾に至っては海中に空気が無い為使用不能、まさに劣勢だ。
しかしそれでもバランは逃げ出さず、海中へと進んで行った。
瞬は黙ってそれを見守る。
「このまま俺がサポートした方が良いのだろうが、あいつは俺に甘えずに一人で闘えると言っていた様子だ・・・ならば、しばらく様子を見させて貰おう。」
海中では既にバランの戦いが再開されていた。
バランにとっては水中を泳ぐ事はお手の物ではあるが、純粋な水棲生物に比べるとそう慣れてはいない。
それを裏付ける様にバランは意図も簡単にホーエンスの攻撃を許してしまった。
突如背後から体当たりされ、そのまま海底に叩き付けられるバラン。
ホーエンスは更に力を込めバランを海底にねじ伏せようとするが、バランはそのまま針千本を撃ちホーエンスを怯ませた。
低くなってしまった威力をカバーする戦法だ。
グウィウウウウウン・・・
バランは体勢を立て直し、海底に手を付けて岩流を放った。
しかしホーエンスは岩の柱を上昇してかわすと、直ぐ様下降してバランに向かって再接近した。
バランもまた念動波を放ち、ホーエンスの接近を許さない。
だがホーエンスは体を瞬時に上下させ、ヘヴィ・ウェーブを放った。
海中の振動は念力の波動とぶつかり合い、衝撃波を起こした。
ズゥグゥゥゥゥ・・・
衝撃波は治まったが、その瞬間を狙いホーエンスは不意を突く様にバランへ三度体当たりを試みた。
しかしバランが気付かない筈もなく、すぐ両手で受け止められた。
とは言ってもそれでバランが有利になったわけでもなく、不意打ちによる油断と隙を防いだだけである。
このままではまたこちらが不利になるのは時間の問題だ。