ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐




「どうした、志真。」
「いや、ちょっと考え事してただけ。そうだ小美人さん、説得の方はどうなってる?」
『『あまり・・・良い状況ではないようです・・・』』



その言葉が気になった3人はゴジラ達の方に目線を戻した。
するとちょうどゴジラの説得が終わったモスラが、今度はバランを説得している所だった。
ただ、バランの方は固い表情で何度も首を横に振っており、モスラがいくら語り掛けてもそれを繰り返していた。



「えっと、これは・・・」
「どう見ても・・・」
「聞く耳もたず、だな。」
『ゴジラはアンギラスと既に闘ったからか、「必ずあいつに逆襲してやる」、とすぐに受け入れてくれた様です。』
『ですがバランはやはり人間達への憎しみが消えていないらしく、「人間達が自分に平伏し、謝罪しなければ要求は一切聞かない」の一点張りで・・・』
「バランって、頑固な奴なんだなぁ・・・」
「やっぱり、まだ完全に人間の事は・・・」



ディガアアアアアアオン・・・



その時、そんなバランに今まで黙っていたゴジラが激しく両腕を振りながら吠えた。
どうやら頑に説得を拒むバランに文句を言っているらしい。
ゴジラとしては、早くアンギラスと決着を付けたい様だ。



グウィウウウウウン・・・



だがバランはそれでも一緒に闘う気は無いらしく、わざとゴジラと一瞬目を合わせたかと思えば、あからさまにそっぽを向いてゴジラをあしらう。
それを自分に対する挑発と取ったゴジラは拳を握り閉めて立ち上がると、大地を蹴り怒りの声を上げる。
バランもまた、執拗に自分に突っかかってくるゴジラに苛立ちを覚えたのか、勢い良く立ち上がり、威嚇体勢に入る。
まさに「一触即発」の状況だ。



「おい、何かゴジラもバランもやばくないか?」
『『二体共、とても気が立っています・・・』』
「もう!今は喧嘩している場合じゃないのに!」


――何だか、見た事のある光景だな・・・



志真達の思惑をよそに、ゴジラとバランは更に険悪な雰囲気になっていく。
いつの間にか威嚇は睨み合いに変わり、そして小競り合いは取っ組み合いにまで発展しようとしていた。



グルルルル・・・

グァウウウウ・・・



辺りに何とも言えない空気が流れ、そこに一筋の風が吹きすさぶ。
そして、それを合図に二体は一斉に前へ突っ込んだ。
目指すのは眼前にいるかつての宿敵だ。



ディガアアア・・・!

グウィウウウ・・・!




だが、あとわずかと言う所で二体は光の糸に体を弾かれ、阻まれた。



クィイイイン・・・!



二体の頭上には激しく羽ばたくモスラの姿があった。
流石のモスラも怒り心頭、といった所か。
そのあまりにも滑稽な様子に志真達も頭を抱えてしまう。



「あ~あ、やっちまったな?」
「モスラが怒っている所なんて、初めて見ました・・・」
「しっかし、バランって瞬とそっくりだなぁ。頭が固くて融通が聞かなくて無駄にプライド高くて偉そうで・・・」
「志真、それ以上言ってみろ・・・実力行使も辞さないぞ。」
「志真さんと瞬さんまで、やめて下さいっ!」
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