ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐
その頃、東京都・あきる野市の日東新聞本社の屋上に志真の姿があった。
彼はここ最近屋上には来ていなかったのだが、安曇市でゴジラが起こした事実を聞き、ショックを隠しきれなかったのだ。
「やっぱり、犠牲者はいたのか・・・出くわす事が無かったから考えられなかったけど、今までも切也君みたいな人がたくさんいたんだろうな・・・」
――ゴジラも加害者、か・・・
こればっかりは悪気が無いだけじゃ、済まされない事だよな・・・
「はぁ・・・俺、ほんと甘いよな・・・どっかの誰かにはよく言われるけどよ・・・」
『おい、志真。』
「そうそう、こんな声の奴に・・・って、ええっ!?」
大の字になって屋上に寝転んでいた志真は、あまりに突然の来訪者の呼び掛けに動転しながら、即座に起き上がる。
それもそのはず、志真の目の前にいたのは今まで噂していた当人、瞬だったからだ。
ただ違和感があるとすれば、瞬がまるで虚像の様に半透明であった事だが。
「瞬・・・?にしちゃだいぶ薄く見える気が・・・」
『志真、話がある。』
「あぁ、俺もついに幻覚を見る様になっちまったか・・・早く病院へ・・・」
『ふざけている場合か。さっさと話を聞け。』
「えっ?・・・って事はやっぱり瞬なのか?」
『説明は今は省略するが、モスラの妖精の力で俺の意識のみがここに来ているらしい。それよりも、お前の力が必要になった。』
「俺の力が?」
『今、日本中を破壊している魔獣達を駆逐する為、俺は妃羽菜と一緒にインファント島へモスラの力を借りに行った。だが、妖精からはモスラ一体だけでは敵わないと言われ、魔獣達を倒すにはゴジラ、バランの力が必要だと言われた。』
「そりゃ、4対1じゃあまりに不利だよな。それで何で、俺の力が必要なんだ?」
『ゴジラを説得できる人間は、間違いなくお前くらいしかいないだろう。だからお前にはゴジラを関ヶ原へ来る様説得してもらいたい。既に妃羽菜はバランを説得している所だ。』
志真は腕を組み、少しだけ下を向いた後に頭を上げ、こう言った。
「・・・いいぜ。」
『それは助かった。ちなみにゴジラの場所は・・・』
「おいおい、ジャーナリストをなめんなよ。それくらいちゃんと調査してあるって。」
『では、ゴジラは何処にいる?』
「・・・小笠原諸島・火山列島の鍵島、だろ?」