ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐







翌朝、京都府・京都市。
その郊外に佇む妃羽菜家では、ちょうど朝食の時間だった。
が、もうすぐ学期末テストが迫る遥は朝食前でも参考書を見つめる毎日だった。
佳奈他はそんな遥を心配そうにしつつも顔には出さず、いつも通り朝食の準備をする。



「うーんと、これがこうなって・・・」
「遥、朝食ができましたよ。」
「あっ、じゃあ参考書仕舞うね。」



そこに佳奈他がトレイの上に2人分の朝食を乗せてやってきた。
トレイに乗っているのは白米が入った茶碗、大きめの皿には焼きたての目玉焼きにソーセージ、そして小皿には福神漬けが乗っている。
それらを佳奈他は丁寧に机に置いていき、席に着いた。



「いただきます。」



声を合わせ、2人は朝食にありつこうとした・・・その時、外から地面に着陸する様な凄まじいエンジン音が聞こえてきた。
しかも、音はこの家の前から聞こえてきているらしい。



「おや、やけに外が騒がしいねぇ。」
「この騒音・・・何だかこの家の前から聞こえて来ない?」
「それもそうね、行ってみましょう。」



2人は箸を置き、急いで外に出た。
が、2人を待ち受けていた光景はなんと白銀の兵器、むささびが妃羽菜家門前を浮遊している光景だった。
あまりに有り得ないこの光景に、呆気に取られる2人。



「おばあちゃん、あれ何だろう・・・」
「流石のあたしもこればかりはさっぱりだねぇ・・・」



するとその時、むささびのコクピットが上に開いたかと思うと、中から一本の太いロープがぷらりと外へ垂らされた。
そしてロープを伝って東と西、最後に瞬が道路に降りて来た。



「しゅ、瞬さん!」
「久しぶりだな、妃羽菜。」
「何故、貴方がここに?」
「ちょっと妃羽菜に用事があって来た。その前に紹介しよう、俺の弟子の東と西だ。」
「東だ。よろしく。」
「俺は西。」
「どうも。妃羽菜遥と言います。」



「遥ちゃんか・・・ところで君、歳いくつ?」
「ばか、合コンに来てるんじゃないんだぞ。」



瞬は腕を組み、ため息をつきながらも「気にするな」、と言わんばかりに遥を視線を送る。
遥もそれを悟り、素早く話題を変えた。



「い、一応17歳です。それで、こちらが私の祖母の佳奈他おばあちゃんです。」
「佳奈他です。孫がいつもお世話になっております。」
「これは失礼しました。自分は、自衛隊特別大佐の瞬庚と申します。」
「まあ、自衛隊の特別隊員の方・・・遥ってば、凄いわねぇ。」
「えっ、そんな事無いよ・・・瞬さんとはまだ、あんまり話せてないし・・・」



「ところでお婆様に、少しばかり相談があります。」
「あたしにですか?」
「はい。お孫さんを2~3日、自分達と同行させて頂けないでしょうか。」
「えっ、瞬さん!?」



瞬の突然の提案に遥は驚きの表情を見せるが、佳奈他は落ち着いたまま瞬の話を聞く。



「遥を、ですか?」
「昨日のニュースはご覧になったと思いますが、自分達は南国の何処かにいるとされるモスラを探しております。」
「はあ・・・」
「そして知り合いの志真と言う記者からモスラの行方は遥さんが知っていると聞き、参りました。」


――志真・・・この軍人さんは、あの記者さんの知り合いなんだね。



「わ、私としては是非行きたいのですが、おばあちゃんがどう・・・」
「行っておいで。」



遥が言い終わる前に、佳奈他は二つ返事で言葉を返す。
あまりに早いその返事に、逆に遥は更に困惑していた。



「いいの?私、テスト前なのに学校を休むになるんだよ?」
「もう、授業範囲は終わっているんでしょ?それに遥はちゃんと一日も休まず学校へ行ってるんだから、ちょっとくらい大丈夫さ。」
「・・・おばあちゃん、ありがとう。」
「さあ、早く行きなさい。これはこの国の、いや世界の明日に関わる問題なんだから。」
「うん!じゃあ行ってくるね!」



遥は笑顔で佳奈他の両手を優しく掴むと、瞬達の元へ向かった。



「本当にありがとうございました。遥さんは必ず、無事にお帰しします。」
「有難いお言葉、何よりです。」
「・・・家族っていいよな、東。」
「どうした急に?実家が恋しくなったのか?」
「ちょっとな。」



4人はむささびのコクピットへと繋がる自動ロープに掴まり、コクピットに乗りこんだ。
そしてコクピットが閉まり、むささびは青い空の向こうへと飛び去って行った。



「・・・ゴジラとモスラ、妖精さん・・・怪獣が紡いだ『絆』だねぇ。さて、早く食器を片付けてしまいましょうか。」
11/42ページ
スキ