ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐
その頃、国会では日本中を暴れ回る三魔獣への対策を考案するべく、特別国会が召集されていた。
だが現実は議論が無駄に白熱するだけで、有効な対策が出る気配もなかった。
「だから陸・海・空の全戦力を一体に集中すればよかったのではないのか!」
「なら他の怪獣への対策はどうするのかね!」
「しかし、むざむざ犠牲を増やすよりましではないか!」
「だがそのせいで、また違う犠牲が生まれるんだ!」
「では、人々を避難させてから怪獣を何処か大きな山に誘導し、爆撃で岩に埋めるというのは・・・」
「それは予算と手間がかかり過ぎます!」
「さっさと『ラゴウ』でも起動させれば良いじゃないか・・・」
「それだけは駄目だ!『ラゴウ』を起動したその時、日本は世界をも敵に回すんだぞ!」
「えい、早く決めろ!こうしている間にも怪獣は日本中を破壊している!」
「そういう貴方が・・・」
「あんのー・・・」
余談を許さない状況の中、一人の男が手を挙げた。
福岡県知事・浅田だ。
「もうこの際、ゴジラかモスラに力を貸して貰いましょうや・・・」
「浅田さん、冗談もいい加減にして下さいよ!」
「そうだ!そんな馬鹿げた事が出来るわけがない!」
「でも正直、大した解決策が無いのに無駄に話し合う方が馬鹿馬鹿しいですわ。」
「あんたねぇ・・・」
「なら、私が探してきましょう。」
そこで更に手を挙げたのは瞬だった。
今回の件は自衛隊も絡む為、自衛隊本部が直々に選出した人物も会議に参加していたのだ。
「君は自衛隊の・・・」
「ゴジラは出現場所に規則性が無い為、何処にいるかは見当がつきません。ですが、モスラに関しては大体の見当が付いています。」
「ほう・・・なら聞かせて貰おう。」
「今までモスラは数回日本に飛来していますが、その飛行ルートを辿って行くと、必ずと言っていい位にある所に辿り着きます・・・そう、ミクロネシアに。」
「つまり、ミクロネシアの何処かにモスラはいると言う事ですね?」
「間違い無いかと。」
「しかしミクロネシアは島国だぞ。あても無く探し回る時間は・・・」
「数百もの国の中から一つの国に絞られたんだ、まだましですよ。それに私が勝手に探すと言っているので、私に任せて下さい。」
「・・・分かった。」
「では、この案の可決にて、会議を終了とします。」
「やっと終わったか・・・」
特別国会が終わり、瞬は国会議事堂の前でため息をついていた。
冬の冷たい風が瞬に吹きすさぶ。
「やはり、ああいう場は緊張する・・・よし、あいつらに連絡を入れるか。」
瞬はスーツのポケットから黒塗りの携帯を出し、電話帳から東へ電話を掛けた。
『はい、もしもし・・・』
「東か。瞬だ。」
『瞬殿!特別国会お疲れ様です!』
「少しお前達に付き合って貰う事になる。西も来てもらうつもりだ。」
『いえいえ、瞬殿の言う事ならば何でも!それで、用件は?』
「俺と一緒にミクロネシアに来てくれないか。助手がいた方が楽なのでな。」
『ミクロネシア・・・つまり、モスラ絡みの件・・・ですか?』
「ああ。それからミクロネシアに向かって以降の事は全て、他言無用だ。」
『は、はぁ・・・』
「それでも来るならば、今日の夜6時、本部格納庫で待っている。じゃあな。」
瞬は電話を切り、今度は西に電話を掛ける。
「さて、これから忙しくなるな・・・」