ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐







その夜、森の中を手に懐中電灯を持って進む切也の姿があった。
冬前の夜空は厚い暗雲に覆われ、あらゆる光を遮断していた。
少しふらつきながら切也は足元を懐中電灯で照らし、何処かへと向かう。
そしてしばらく森を進み、ある場所で切也は立ち止まった。
魔獣像だ。



「この下に眠る魔獣の力を使えば、ゴジラだって・・・!もう、こんな嫌な日々とさよならだ!!」



切也はこれまで心の奥底に秘めた憎しみを右手に込めると、そっと魔獣像に触れた。
すると魔獣像が一瞬の内に紫の輝きを放ったと同時に、周囲一帯に凄まじい地震が起こった。
それに呼応するかの様に切也の足元が割れ、魔獣像が地面から突き出た巨大な角によって破壊された。



「うわあっ・・・」



バランスを失い、地面に座り込む切也。
だが地震は収まる気配は無く、更に切也の目前の角が地面へ戻ったかと思うと、その直後地面を巻き上げ地の底から巨大な何かが這い出て来た。



ギャエエエエエエン・・・



辺りが真っ暗で姿はよくわからなかったが、その大きさはゆうに50m以上はあり、「暴龍乃像」の魔獣とよく似ていた。
あまりの威圧感に切也は足が震え、動けない。
すると魔獣は眼前の切也を見付け、強く睨む。
そして頭の角が紫に光り、切也を角に取り込んだ。



「あ、ああ・・・!」





一方、安曇野での魔獣の覚醒は全国各地にも影響を及ぼしていた。
他の三つの魔獣像からの怪光、同箇所を震源にした同時多発地震・・・そして、巨大生物の出現。





秋田県・久六島には「重鯨乃像」の魔獣が、



ズゥグゥゥゥゥゥ・・・





兵庫県・和田山市では「岩狼乃像」の魔獣が、



ウォオオオオオン・・・





大分県・竹田市からは「剛禽乃像」の魔獣が、



ピャアアアアアン・・・



そして長野県・安曇野で「暴龍乃像」の大魔獣・・・四魔獣が1500年の時を超えて蘇ってしまった。
もちろん、この事態を自衛隊が黙って見ているはずは無く、すぐに陸・海・空の三戦力を各地に派遣した。
だが安曇野の大魔獣は自衛隊に気付かれる事は無く、地底へとその姿を消した。
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