ゴジラ6‐大魔獣日本襲撃‐







2010年・6月、甲府の地にてゴジラとブリザードバランが死闘を繰り広げていた。
鬼神の如く暴れ狂う二体は街を無惨に破壊して行く。



ゴォガアアアアアアオオン・・・

グウィアアアアアアウウン・・・





そんな中、甲府市・栄集小学校では4年2組の生徒が逃げ遅れていた。
教室から脱出する前に天井が崩れ、出られなくなってしまったのだ。
時折起こる地響きに、生徒達の恐怖がかきたてられる。



「先生・・・恐いよ・・・」
「先生・・・僕達、助かりますか・・・?」
「心配するな。何があっても必ず助けてやる!」



疑心暗鬼に陥る生徒達を、担任は必死に励ます。
心の底では二体に脅えている、自らも叱咤する様に。
だがその時、再び街に地響きが起こった。
脅える生徒達。
と、同時に地響きによって窓を塞いでいた瓦礫の一部が崩れ、瓦礫の壁に一筋の光が差し込んだ。



「やった!これで助かるんだぁ!!」



すると生徒の1人、赤城切也がその割れ目へ向かって走り出した。




「まっ、まて赤城!また崩れてしまうかもしれないんだぞ!」



担任の制止を振り切り、切也は瓦礫の中から抜け出した。
だがその時、切也の頭上が突然真っ黒に染まったかと思うと、すぐ轟音と共に地震が辺りを襲った。



「うわあああああっ!」



凄まじい地震のエネルギーに後ろへ吹き飛ばされる切也。
容赦無く瓦礫の壁に叩き付けられ、瓦礫だらけの地面へ落下する。



「うぅっ・・・い、痛い・・・!」



右腕で左腕をかばい、何とか立ち上がった切也。
だが左向きに叩き付けられたからか左腕は全く動かず、左足もだいぶ痛めてしまった様だ。
そして後ろを振り向いた切也は地震の原因、ここに落ちてきた物の正体を知った。



ゴォガオオン・・・



見えたのは煙を上げ動めく黒い物、その中には白く血走った大きな瞳。
一瞬見ただけでは何か分からなかったが、切也はすぐそれが何か悟った。



「ゴ、ゴジラ・・・」



そう、ゴジラだ。
ブリザードバランの不意を突いた極冷圧弾によってここまで吹き飛ばされて来たのだ。
が、ゴジラはすぐ側の切也の事など気にも止めず、ゆっくりとその頭部を上げた。
それにより、大小様々な瓦礫が切也へ落ちて来る。



「わああああああああああっ!!」



痛みに耐え、恐怖と震えながらも切也は必死に頭を守る。
だがその時、切也は衝撃の光景を見てしまう。
今さっきまで自分や友達、先生が隠れていた瓦礫の隠れ家が、ゴジラの巨大な手によって無惨にも押し潰されたのを。



「あっ・・・!!」



無情にも切也にはそれを見る事しか出来なかった。
切也の小さな体を、とてつもない無力感と脱力感が駆け巡る。
しかし、その感情もゴジラには全く届かない。
ゴジラが考えているのはただ一つ、眼前に佇むブリザードバランを葬る事だけだ。



「・・・なんで、だよ・・・!なんでなんだよ・・・ゴジラ・・・!!君は僕達の、ヒーローなんだろ・・・なのに、なんでみんなを・・・なんでぇ!!






・・・許さない。僕は・・・お前を、絶対に許さない・・・ッ!!」



そして、この時から・・・1人の少年のゴジラへの憧れは、憎しみへと変わった。



ゴォガアアアアアアオオン・・・
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