ゴジラ5・5‐チャイルドの一日‐
それから数時間が経ち、鍵島のチャイルドもゴジラの帰りを察知していた。
チャイルドは岩投げをやめ、バラゴンの紹介も兼ねて海岸へゴジラを迎えに行こうとした。
だがチャイルドはある事に気付き、歩みを止めた。
話によると、バラゴンは地底を潜りながら世界中を旅していたらしく、ここに来たのも軽い休憩の為だという。
つまり元々この島の住人ではないわけだが、そんなバラゴンをゴジラが果たして許すのか、という事だった。
もしかしたらバラゴンの事を侵入者として、この島から追い出してしまう・・・いや、今までの怪獣の様にバラゴンを敵と見なして倒そうとする・・・ふと、そんなビジョンが頭によぎり、更に不安は掻き立てられる。
そんなの嫌だ、せっかく友達になったバラゴンを失いたくない。
小さな体の中でたくさんの不安が渦を巻き、チャイルドを苦しめる。
ギュウウウン・・・
ズゥイイイイン・・・
そんなチャイルドの肩をポンと叩いたのは、バラゴンだった。
バラゴンもまたチャイルドに親がいる事くらいは察知でき、また親は勝手にここに入って来た自分を許してくれるはずがないのも分かっていた。
だからこそバラゴンはチャイルドの肩を叩き、不安を取り除いた。
どんな覚悟も、出来ているからこそ。
ギュウウウ・・・
不安は完全に消えなかったが、それでも少しは楽になれた気がした。
うつ向いて不安がっていた顔も、すっかり綻んでいた。
と、その時海岸の方から地響きの音が聞こえてきた。
ゴジラが帰って来たのだ。
いよいよ覚悟の時、チャイルドとバラゴンは海岸へ向かった。
一方、海岸に帰って来たゴジラはいつもとは違う、違和感を感じていた。
島に帰って来た時、必ず海岸で迎えてくれていたチャイルドが今日はいない。
留守にしていた間に何かあったのか、ゴジラは不安に駆られる。
すると、林の向こうからチャイルドが歩いて来た。
だが、それ以上にゴジラはチャイルドの後ろにいる見慣れない怪獣に目がいった。
ゴジラの脳裏には、悪い予想ばかりが浮かぶ。
もしかして後ろの怪獣に今まで嫌々連れられてたのじゃないか、あの怪獣は我が子を人質にする気なのか・・・
ゴジラの歩みが自然に早足になり、すぐチャイルドの元にかけよる。
チャイルドは新しくできた友達を紹介しようとしたが、もうそれどころではない状況になってしまった。
ゴジラもバラゴンも、既に互いを威嚇する様に睨み合っていたからだ。
もっとも二体の体格差は明らかで、あまりバラゴンの方に威圧感は無いが。
ギュオオン・・・
そんな二体を見たチャイルドは二体の間に入り、仲裁をする。
バラゴンに威嚇するのを止める様に促し、ゴジラにもバラゴンは悪い怪獣じゃなく、逆に今まで遊んでもらっていた事を必死に説明した。
しかしゴジラはまだ威嚇を止めず、バラゴンも警戒を解かない。