ゴジラ5・5‐チャイルドの一日‐







ゴジラが危機を迎えている一方、鍵島ではチャイルドとバラゴンが親睦を深めあっていた。



ズゥイイイイン・・・



山岳地帯付近にて、バラゴンが得意の穴掘りをチャイルドに見せる。
慣れた手振りで地面に潜り、すぐ別の所から顔を出し、また地面に潜る。
辺りにはバラゴンが作った穴だらけだ。
そしてその光景をチャイルドはただ羨ましそうに眺めていた。
だが今日はチャレンジングな気分であるチャイルド、拳を振り上げやる気を出すと、手を使って地面を掘り始めた。
時々、ゴジラも地面に潜っていた事を思い出したのだ。
しかし掘れども掘れども、思った様に地面に穴を作れない。
隣ではバラゴンがまた穴を作っては潜っている。



ギュウウウ・・・



もちろんチャイルドが穴が掘れないのにも、ちゃんと理由はあった。
バラゴンはまるで流れ作業の様に滑らかにかつ素早く地面を掘っているのに対し、チャイルドは少し力が入りすぎているのだ。
その為効率も悪く、動きも遅れがちになってしまう。
そんなチャイルドをよそにバラゴンはどんどん穴を増やしていたが、流石に飽きてきたのか、また一つ穴を作ると隣にいるチャイルドの様子を見に行った。



ギュウウウン・・・



足元に作られた穴、土だらけの手、下を向き、明らかに浮かない顔。
なんとなくではあるが、バラゴンはチャイルドがなぜ沈んでいるのかを悟った。
自分が自慢ばかりしていたから、きっとこの子は自分の真似をしてしまい、そして上手くいかないのか・・・と。



ズゥイイイイン・・・



バラゴンはチャイルドにこっちへ来る様に促した。
チャイルドは黙ってバラゴンについていく。
バラゴンはどうやら近くの山に向かっているらしい。
導かれるままにして着いたのは、数時間前チャイルドが登った様な坂道だった。
何をするのか分からずにぼーっとしていると、立ち上がったバラゴンが前足に小さい岩を持ち、こっちを見ていてと言っていた。
バラゴンに言われた通り、チャイルドはバラゴンを見つめる。



ズゥイイ~ン!



すると、バラゴンは手に持った岩を軽く前へと投げた。
円を描いて上へ向かっていた岩は坂の急斜面に勢いを失い、止まったかと思うと今度は急斜面を転がって逆に勢いを付け、二匹の元へ帰って来た。
とっさにかわすチャイルドをよそに岩はそのまま転がり続け、海岸辺りで動きを止めた。



ギュオギュオン・・・



とても楽しそうなチャイルドを見てバラゴンは安堵の表情を浮かべ、また拾った岩をチャイルドに渡した。
チャイルドは早速バラゴンのやっていた通りに岩を投げようとした・・・が、勢いを付けすぎてチャイルドは後ろによろめき、転んでしまった。
急いでチャイルドをあやそうとするバラゴンだったが、チャイルドは全く涙を見せず、それどころか気にもしていない様に頭を掻くと、再び立ちあがった。
ちなみにこれはチャイルドが慕う存在の一つ、志真の真似である。



ギュオオオオン・・・



楽しげに岩を投げては飛び跳ねてはしゃぎ、また投げてははしゃぐチャイルド。
少し遠くからそれを見つめるバラゴンの顔も幸せそうだ。
するとチャイルドが手に岩を持ってバラゴンに近付き、バラゴンも岩投げをやる様に促した。
バラゴンは岩を受けとると、その場で思いっきり岩を投げた。
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