ゴジラ5・5‐チャイルドの一日‐







一方、ゴジラは海面に顔を出しながら小笠原諸島・西之島を目指していた。
ここにゴジラを引き寄せる「何か」があるのだ。
島に近付くにつれ、だんだんと島の砂浜が見えてくる。
更に近付くと、砂浜で大きな怪獣が暴れているのが分かった。
灰色をした長い胴、蛇の尾の様な足、そしてタツノオトシゴを思わせる顔。
「蛇竜怪獣」ラゴネークだ。



ヌゥバアアアアア・・・



幸い砂浜には誰もいなかったが、それがラゴネークが暴れる理由だった。
肉食性であるラゴネークは特に人肉を好んでおり、辺りの島々もあらかた襲撃していた。
しかし世間がこれを見逃す訳は無く、「小笠原諸島・連続襲撃事件」として大々的に報じられた。
幾多の怪獣襲撃の経験もあり、この怪事件も怪獣の仕業であると見抜いた人々は続々と本土へ避難して行った。
当然西之島には人一人としていないが、本能のみで行動し、人々を食い散らかしてきたラゴネークにこの事が分かる訳が無い。



ヌゥバアアアアア・・・



餌が見付からない怒りから、ひたすら砂浜を暴れるラゴネーク。
と、その時海の方からラゴネークへ向かって青い熱線が飛んで来た。
熱線はラゴネークの胴体に直撃、ラゴネークは砂浜に倒れ込む。



ディガアアアアアアオン・・・



熱線を放ったのはゴジラだった。
ゴジラはそのまま砂浜に上陸すると、ラゴネークを睨み付けた。
ダメージを受けたラゴネークもその怒りをゴジラに募らせつつ、ずんぐりと起き上がる。
そしてラゴネークは眼前のゴジラへと向かっていった。
後足で立ち上がり、前足でゴジラへ攻撃を加えようとするが、ゴジラはその攻撃を巧みにかわしていく。
更にゴジラはラゴネークが足を振った隙に勢い良く尾をラゴネークにぶつけた。
少し後退するラゴネークに尾の洗礼を浴びせ、反撃の隙を全く与えないゴジラ。
だがラゴネークは一瞬尾の動きが鈍ったその隙を突き、ゴジラの尾を掴んだ。
ゴジラは慌てて尾を振り上げ、ラゴネークを地面に叩き付けた。
が、吸盤の様になっているラゴネークの足は中々ゴジラの尾から離れない。
更にラゴネークは長く伸びた口から黒い煙幕を出した。



グルルルル・・・



煙幕はたちまち辺りを覆い、ゴジラの目の前は全く見えなくなった。
周囲を見渡し、ラゴネークを探すゴジラだったが、突如ゴジラは右足を何物かに絡みつかれ、転倒した。
紛れもない、ラゴネークだ。



ヌゥバアアアアア・・・



ラゴネークはそのままゴジラの右足を凄まじい力で絞め上げる。
「バインディング・ブリーカー」だ。
右足を襲う激しい痛みに苦しむゴジラ。
必死にラゴネークを振り払おうとするも、やはりラゴネークは離れない。
ラゴネークはゴジラを、自らの独壇場である海の方へと引きずっていった。
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