一方、その甲府市は幾度となく発射されたゴジラの赤色熱線によって煙が充満し、ゴーストタウンを思わせる街となっていた。
ブリザードバランの姿も煙の向こうへと見えなくなってしまい、ゴジラは辺りを警戒する。
と、その時爆煙の向こうから冷気の弾丸がゴジラへ向かって飛んで来た。
弾丸はそのままゴジラへ直撃し、ゴジラは後方へと吹き飛ばされ、地面に倒れ込んだ。
辺りに地震が起こり、崩れかけていた付近のビル、学校が無惨にも崩れ去る。
そして煙を振り払い、ブリザードバランが姿を現した。
先程の弾丸はブリザードバランの極冷圧弾だったのだ。



グウィアアアアアアウウン・・・



ゴジラはゆっくりと頭を上げて起き上がると、眼前のブリザードバランを睨む。
だが当のブリザードバランは気にも止めず、こちらに向かって来るゴジラへ猛念吹雪を浴びせた。
凄まじい吹雪に足が進まないゴジラだが、すぐさま背鰭を、全身を紅く光らせ爆炎波導を放つ。
紅い波導と蒼い吹雪がぶつかり、貫き、中和される。



ゴォガアアアアアアオオン・・・



そして再び取っ組み合う二体。
互いに地響きを立てながら辺りを回り、相手を力で押し込んで行く。
ブリザードバランが踏みしめた地面には氷が貼り、そこをゴジラが踏み付けるとすぐ氷は溶け、焦土になる。
更にその焦土をブリザードバランが再び踏みしめ、再度氷に変える。
これが何回も何回も繰り返された。
だが、そんな鼬ごっこにも終わりが来た。



ゴァアアアン・・・



ブリザードバランがゴジラの喉笛に噛みつき、ゴジラが怯んだ隙に地面へ叩き付けたのだ。
起き上がろうとするゴジラだが、ブリザードバランは素早くゴジラの頭を踏み付け、地面に固定する。



グウィアアアアアアウウン・・・



ブリザードバランは天に向かって咆吼を上げるや否や空気と冷気を吸い込み、足の下で必死に抵抗するゴジラへとどめの極冷圧弾を撃ち出そうとした。



グァルルルルル・・・



だが、そこへ空に雷雲が起こったかと思うと、轟く雷音と共に雲を裂き、ゴジラとブリザードバランの眼前に「エターナル」体モスラが姿を現した。



カクィィィィィオウン・・・



空に輝く七色の翼、何者も寄せ付け無い様に轟く雷、そして腹部に光るインファント島の紋章。
頭の上にはモスラの力で守られた志真と遥、地上にはチャイルドの姿もあった。
闘いに水を差され、怒り心頭のブリザードバランはゴジラに撃とうとした極冷圧弾を空のモスラへ撃ち出した。
しかしモスラは腹部の紋章からプリズム光線を出し、氷の弾丸を止める。
そして二発目の光線でブリザードバランを吹き飛ばし、ゴジラを解放した。



ゴォガアアアアアアオオン・・・



ゴジラは起き上がると、地面に倒れているブリザードバランを憎悪の眼で見下し、そのまま踏み付けようとした。
しかしモスラの放つプリズム光線がすぐゴジラを制止する。
ゴジラの憎悪の眼は、モスラへと向けられた。



「ゴジラ、我を失ってる・・・でも心の中ではこんな事、嫌だって苦しんでる・・・」
「あいつらを早く元に戻してあげるんだ・・・モスラ、チャイルド、頼む！」