ゴジラ5‐バランの復讐‐






一方、甲府市では二つの巨獣が街中に咆吼を唸らせていた。



ゴォガアアアアアアオオン・・・

グウィアアアアアアウウン・・・



ビルですらも足元までしかない程に巨大である二体、ブリザードバランと真・ゴジラは互いに全てを蹴散らしながら迫って行く。
尾が、足が、道を塞ぐ物を破壊し、ゴジラの歩いた後には高熱による湯気が、ブリザードバランが歩いた後には低温による冷気が溢れ出る。
そして二体はお互いにその体をぶつけ合った。
高熱の腕がブリザードバランの体を抑え、低温の腕がゴジラの体を抑える事によって凄まじい煙が周囲に充満し、二体の視界を隠す。
しかし直ぐ様ブリザードバランの冷風が煙を振り払い、同時にゴジラを吹き飛ばそうとした。
だが、十万もの体重を誇るゴジラを吹き飛ばせる筈が無く、当のゴジラは余裕の表情を見せる。



するとブリザードバランは少し後退りしてゴジラと距離を取り、両脇の皮膜を展開し念動波の体勢を取る。
しかし放たれたのは自らの冷気を絡めた「猛念吹雪」だった。
蒼い吹雪は一瞬の内に建物を破壊し、ゴジラに吹き荒ぶ。



グァァルルル・・・



さしものゴジラも絶対冷度の吹雪には辛そうだ。
更にブリザードバランは追い撃ちを掛けようともう一度猛念吹雪を放とうとするが、ゴジラもまた背びれを紅く光らせ、何かを放つ準備をする。
そしてブリザードバランが猛念吹雪を放とうとする寸前、ゴジラの体から紅い光が漏れだし、爆炎波動を放った。
紅い波導は地上を焦土に変え、そのままブリザードバランへ直撃した。



グァオオウン・・・



ブリザードバランは猛念吹雪を放つのに失敗し、その場によろめく。
だがゴジラは反撃と言わんばかりに赤色熱線をブリザードバランへ放つ。
ようやく体勢を立て直してたブリザードバランだが、熱線を見舞い容赦無く地面に叩き付けられた。
そしてゴジラはとどめを差す為、起き上がろうとするブリザードバランに赤色熱線を放った。






「分かった分かった、だからまず離れてくれって・・・」
「久々に志真さんと出会えて、とっても嬉しいんですね。」



ギュオギュオオン・・・



その頃、山梨市に駆け足でやって来ていたのは、チャイルドであった。
遥とモスラが寄り道したのは、鍵島にいるチャイルドをここまで誘導する為だったのだ。



「それは分かるけど、ゆっくりしてる余裕もない訳で・・・」
「そうだなぁ・・・」



そこに現れたのは、志真を捕まえたあの警官だった。
警官はよろめきながら交番から出てくると、ゆっくりと志真達に迫る。



――や、やっべ・・・


「何故ゴジラの子供とここにいて何故じゃれ合っているかはわからないが・・・君には、今すぐ本署に出頭してもらおうか・・・」
「す、すみません!ですが私達にはやるべき事がありまして・・・」
「君達がやるべき事は・・・まず、ちょっと私と一緒に来ようか・・・」
「志真さん・・・どうしましょう・・・」
「・・・仕方ない、チャイルド、あの青いのを吹き飛ばせ!」
「えっ、ええっ!?」



するとチャイルドは勢い良く息を吸い込むと、警官へ熱い息を吹きかけた。
警官からすれば息を吹きかけられた感覚では無く、猛烈な強風が自分に向かって吹いて来た感覚ではあるが。



「むおっ、うっ・・・わあっ!」



せっかく外へ出れた警官だが、チャイルドの息によってまた交番へ戻されてしまった。
もちろん警官を心配しているのは遥のみである。



「だ、大丈夫でしょうか・・・」
「こっちは日本の危機になりうる事なんだ、仕方無いって。」


――お巡りさん、ごめんなさい・・・


「よしチャイルド、俺を運んでくれないか?」



ギュオオオオン・・・
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