ゴジラ5‐バランの復讐‐







その夜、京都の街へ緑に光る一筋の光が向かっていた。
光は目にも止まらぬ早さで街へと急降下すると、真っ直ぐ街の中央を抜けて郊外へと向かう。
そして光は郊外に佇む一つの日本家屋へと入って行った。
表札には「妃羽菜」と書かれている。
その妃羽菜家では、高校2年生になった遥が二階の自室で勉強に励んでいる所だった。



「うぅ~、やっぱり理科は苦手・・・・・・」



と、頭を抱えながら机に向かっていた遥は「何か」を察知した。
すぐに勉強を中断し、窓を開けると夏の暖かな風が部屋に入ってきた。
しかし遥の目的は換気ではなく、窓の外にいるものに理由があった。



「あっ・・・貴方、モスラじゃない!」



そこには緑に光輝く「フェアリー」体に変化したモスラの姿があった。
遥はまさかの再会に喜びつつも、頭に流れるモスラの声を聞く。



クィキウィィン・・・



――「邪悪な影が、富士の地から蘇る・・・?」
富士の地・・・はっ、それってもしかして!


「・・・それで私に協力を求めて来たのね。分かった、でもまずしないといけない事があるから、ちょっと待ってて。」



するとモスラは後ろへ向きを変え、家からどんどん距離を取っていく。
それと同時に遥も急いで部屋から出ると階段を降り、玄関へと向かった。
下の台所では、佳奈他がちょうど夕食の後片付けをしている所だった。



「ごめんおばあちゃん!友達が呼んでるみたいだから、ちょっと出掛けて来てもいい?」
「いいですよ。いってらっしゃい。」
「帰って来たらちゃんと勉強するからね!いってきまーす!」



遥は玄関の棚に置いてあるお気に入りの白い靴を履くと、家から出ていった。



「いってらっしゃい遥。気を付けてね・・・」





一方、外では既にモスラが「ノーマル」体になって遥を待っていた。



カクィオオオオウン・・・



しばらくして、遥が玄関から出てきた。
遥は空を見上げ、モスラの姿を確認する。



「待たせてごめんね!じゃあ行こ!」






同刻、富士山一帯は雷雲に覆われていた。
雷雲からは轟音を立てて雷が絶えず焦土の裾野に落ち、枯れ木に激突しては火災を起こす。
と、裾野へ乱雑に落ちていた雷が突然一つの所へ集中して落ち始めた。
辺りに凄まじい雷のエネルギーが蓄積されて行き、そして大爆発を起こす。
だが爆発は何故かすぐ治まり、代わりに冷気が裾野一体を覆う。



・・・グアアア・・・



更に、冷気の中央から恐ろしい程に巨大な影が姿を現した。
影は両手を広げると裾野を飛び去り、巨大な雲と化して山梨県の方向へと向かっていった。
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