ゴジラ5‐バランの復讐‐







翌朝、志真は湖西市の郊外を歩いていた。
源の家は街の郊外にある浜名湖の近くにあるのだ。
しばらく郊外を歩いていると、眼前に浜名湖が見えてきた。
湖面は朝日に照らされ眩く光り、水鳥達も楽しそうに泳いでいる。



「わぁ・・・きれいだな・・・」



湖の光景を横目に、志真は住所が書かれたメモを頼りに歩いて行く。
するとそこに、青塗りの屋根の家が見えてきた。
すぐ近くには釣り場があり、家の玄関には雑貨物が散乱している。



「おっ、あそこだ。」



志真はドアに近付き、軽くノックをしてから中へ向かって呼び掛けた。



「御免下さい。日東新聞の者ですが・・・」



しかし、返事は無い。
志真はもう一度少し強めにノックをし、やや叫ぶ勢いで再び呼び掛ける。



「御免下さい。日東新聞の者です。」



だが、やはり中から返事は来なかった。



「あれ、おかしいな・・・?もうだいぶいい歳だったし、やっぱり聞こえてないのか?でも呼び鈴は見当たらないし、資料には電話番号は書いてなかったし・・・」
「どうしました?」



玄関口で悩む志真に、年老いた男が話し掛けてきた。
全身ジャージ姿に首からぶら下げた白いタオル、どうもジョギング中だった様だ。



「私は日東新聞の者の志真と言うのですが、この家に住む方に用があって来ました。」
「はぁ、日東新聞の方ですか・・・確か、源さんなら北海道へ行きましたよ。」
「ほっ、北海道へ?」
「えぇ。実を言うとわしは源さんの知り合いなんですが、昨日『北海道の友人の所へ行く』と聞きまして。」
「そうですか・・・それで、源さんは北海道の何処へ?」
「えっと、確か『黒沼博物館』ですな。」


――黒沼博物館って、俺が昨日行ったばっかじゃんか!
入れ違いかよ・・・はぁ。


「ありがとうございました。では、貴方もジョギング頑張って下さい。」
「はっはっはっ、私がジョギングの最中だと分かるとは、さすがは記者の人だ!では、まだまだ若者には負けられませんからな!」



志真にサムズアップを決め、老人は何故か嬉しそうに湖沿いへと走り去っていった。



――まぁ、あの恰好で何となく分かるけどな。


「・・・さて、また北海道行きか。ついでに収穫はなかったけど、黒沼博士にあれを報告しとくか・・・」



志真は小難しそうに腕を組みながら、源の家を後にした。
9/27ページ
スキ