ゴジラ5‐バランの復讐‐











翌日、部隊が持ち帰った無線の解析と自衛隊による三浦半島の処理活動が行われている中、志真は日東新聞本社の資料室にいた。
志真が見ているのは「日本における地震の全て」という資料で、開いているページには「第一次日本震災」という地震について書かれている。



「『第一次日本震災とは1900年頃、北上川上流を中心にして起こった大震災であり、2008年に起こった第二次日本震災と同規模の地震とあったと言われ、後者はこの地震からこの名前を採っている。』・・・これだけか。」



――新聞社の資料でも、これだけ。
噂には聞いてたけど、まさに「幻の事件」だな。
こんな内容だったら教科書に載るくらいのレベルだし・・・はぁ。



思ったような結果が出せず、志真は肩を落とす。



「まぁ、ちゃんと仮説はあるけど。」



すると志真は資料を棚にしまい、また別の資料を取り出した。
素早く資料のページを捲り、志真はあるページで手を止める。
そこに書かれていたのは「1958年に起こった事柄」だった。



――北上川上流は52年前、バランが住み家としていた所だ。
もしこの震災が事実だとするなら、震災の影響で長く眠っていたバランが覚醒してもおかしくない・・・



資料のページを捲りながら、志真は頭の中で仮説を立てて行く。



――その後バランは近くにある岩屋村に出没し、偶然その村に伝わる神「婆羅陀魏山神」として長い間君臨していた。
しかし、東京の杉本生物研究所から来た調査員の命を奪ってしまった事により、その存在を世間に示してしまった。
そしてバランは東京へ向かい、自衛隊によって駆逐された・・・



志真は資料を閉じて棚にしまい、また別の資料「宮城県民の現住所」を取り出した。
今回は慎重にページをめくり、手を止める。



「おっ、あったあった・・・」



手を止めたページは「岩屋部落(現岩屋村)住民」の項だ。
しかし、リストに載っている人々の多くが既に死去しており、現在静岡県・湖西市に住む「源」という老人しか生存が確認されていなかった。



「このじいさんしか生きてないのか・・・まぁ、震災に関してもう少し分かるだろうし、行ってみるか。」



志真は資料を棚にしまうと湖西市に向かう為、資料室を出ていった。
8/27ページ
スキ