ゴジラ4‐守護神の祈り‐







数時間後、インファント島にモスラが帰って来た。



『『モスラ、おかえりなさい。』』



カクィオオオオウン・・・



『実は、モスラに会わせたい人がいるの。』
『お待たせしました。モスラが帰って来ましたよ。』



小美人に呼ばれ、洞穴の辺りからゆっくりと歩いて来た男・・・それは瞬だった。



「これがモスラか・・・近くで見ると圧巻だな。」
『『瞬さん。今こそ正直になる時です。』』



少しの沈黙の後、瞬はモスラの方を見ながら静かに口を開いた。



「・・・すまなかった。ゴジラを倒してくれと頼んだのは、俺だ。」
『瞬さんは少し前、モスラが遺跡で超古代のロボットと戦っていた時に来たの。』
『そして今日、モスラと私達に謝りに来て・・・』
「全て彼女達が言った通りだ。確かに俺は彼女達にそう伝えてくれるよう頼んだ。しかし今日俺の知り合いが島へ来て迷惑をかけてしまった。俺がここへ来なければ、こんな事にはならなかった。それと、今更だが・・・俺の中で、怪獣に対する考えが変わりつつある。ゴジラやラドンを攻撃したのは、間違っていたのではないかと・・・身勝手で独り善がりで傲慢な事は分かっているが、どうかこんな俺を許して欲しい・・・!」



瞬の心からの言葉を聞いたモスラはその場で羽ばたき、七色の鱗粉を広場一面に瞬かせた。



「これは・・・?」
『『モスラは、貴方を許しました。』』
「モスラが、俺を・・・」
『この広場は、邪念を持った人が入れない様に結界が張ってあります。』
『ですが貴方は最初からここに入る事が出来ました。貴方は元々ここに入る資格のある、優しい方だったのです。』
『『瞬さん、その口から本心を言って下さって、ありがとうございました。』』
「・・・そうだったのか・・・」



瞬は顔を下に向け、目を固く閉じた。
今までの自分を恥じるかの様に。



『『あと一つだけ、貴方に伝えたい事があります。』』
「・・・?」
『貴方は以前、自分の国に失望したと言っていました。』
『ですが、もうそんな悲しい事は言わないで下さい。』
『『例えどんな場所であろうとも、貴方と言う大切な存在が産まれた、かけ替えの無い居場所なのですから・・・』』
「・・・わかった。改める。」
『『ありがとうございます、瞬さん。』』


――・・・ほんの少し、志真の気持ちが分かった気がするな。



瞬は迷彩帽子の唾を掴むと、薄く笑みを浮かべて広場を去って行った。
モスラの祝福を、その身に受けながら。






第四章・完
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