ゴジラ4‐守護神の祈り‐
ギィィィィィオン・・・
追い詰められたと感じたスタンガは急いで腕を戻したかと思うと突如背中の羽を広げ、そのまま街の外へ飛んで行く。
「あいつ、逃げる気か!」
「モスラ!あの怪獣を追い掛けて!」
モスラは遥の声に応える様に勢い良く翼を羽ばたかせ、スタンガを追い掛け始めた。
背後のモスラに気付いたスタンガは飛行のスピードを上げるが、モスラの方が速度は一歩上手だ。
更に、突如モスラの体が赤く燃え盛り始めた。
「おっ、おい、何かモスラがやばいぞ!」
「いえ、あれは必殺技の準備段階です。」
「えっ?」
「自らの体を燃やし、敵に突撃する『ファイヤー・ヒート・タックル』の。」
遂に炎はモスラの全体を覆った。
そしてモスラはそのまま炎の塊となって高速でスタンガへ突撃し、スタンガを貫いた。
「ファイヤー・ヒート・タックル」だ。
ギィギャオオン・・・
スタンガは空中で爆発、四散した。
そこはちょうど街の郊外だ。
「やった・・・!」
「よっしゃあ!」
ギュオギュオン・・・
その日の夕方、役目を終えてインファント島へと帰って行くモスラ。
その下でゴジラが夕日へ向かって去って行くが、今までと違うのは後ろにチャイルドがいる事だった。
「・・・と言うわけで、チャイルドは無事に見付けたのですが、チャイルドはゴジラと行く事を選んだ様です。」
『そうですか・・・ですがそれこそが我々の目的だったので、構いません。一応は同じ種族であるゴジラの元へ行くのが、チャイルドの幸せですから。』
「そう言って頂けて、きっとチャイルドも喜んでいますよ。」
『形は生みの親なので、ちょっと寂しい所もありますけどね・・・』
「なので、僕はこれからもゴジラとチャイルドの行方を探っていこうと思います。お時間がある時にでも、僕の記事を見てやって下さい。ではでは、僕はこれで・・・」
『分かりました。チャイルドを、よろしくお願いします。それでは・・・』
研究所へ連絡を終えた志真と遥は、海の彼方へ消えて行く三体を安芸市の海岸で見送っていた。
「終わりましたか?」
「ああ。形は違うけど、一応はこれで依頼完了だな。」
「ではもう、志真さんは東京へ帰ってしまうのですか?」
「うーん・・・でも、遥ちゃんの家に寄ってからにしようかな。」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「いやいや、礼には及ばないって。じゃあ行くか。」
「はい!・・・あっ、そういえばモスラについてある話があるんです。」
「話?」
「少し前、モスラはフィリピンの遺跡から現れた怪獣の元へ行ったのですが、モスラはその怪獣を倒さなかったんです。」
「そういえばそんな話があったなぁ・・・でも、それはまた何でだ?」
「モスラによると、その怪獣に罪は無いからだそうです。怪獣は別に何処も破壊していないし、怪獣も遺跡を荒らされたから出て来たみたいです。」
「へぇー・・・やっぱり優しいな、モスラは。」
「怪獣はすぐに動きを止めた様なので、ロボットか何かでしょうね。」
「古代人のロボット、か・・・そりゃ面白いな。」
2人は楽しく談笑しながら、砂浜を去って行った。