ゴジラ4‐守護神の祈り‐




やがて竜巻は治まり、森の火は完全に消えていた。



「どうやら、治まったみたいだな・・・」
「私達を助ける為に、来てくれたのね・・・」



モスラは「ノーマル」体に戻ると、再びダムへと向かおうとした。
だが、そんなモスラを止める声があった。



「待ってくれ!」


そう・・・志真だ。



「し、志真さん・・・」
「頼む、もうこんな戦いはやめてくれ。」
「しかし、今のゴジラは・・・」
「分かってる。じゃあ、遥ちゃんは『チャイルドゴジラ』が何故生み出されたのか、分かるか?」
「えっと・・・『ゴジラの本能に眠る「子」に対する母性・父性愛に働きかけ、ゴジラの精神を安定させる事によって体内の核暴走を未然に防ぐ』、でしたよね?」
「そう。つまりチャイルドは、ゴジラを守る為に生まれたんだ。正直俺、最初はまた人間のエゴかって思ってた。だけど、チャイルドと触れ合って気付いた。自分達の過ちを反省し、二度と繰り返さない為にチャイルドを生み出したって。」
「・・・」
「だから頼む。ゴジラと、このチャイルドに賭けて見ないか?モスラだって本当は、こんな闘いは嫌なんだろ?」
「・・・モスラ、私からもお願い。私、やっぱり自分に嘘は付けない!モスラだけじゃない・・・ゴジラも、チャイルドも、この世界にいて欲しいの!」
「遥ちゃん・・・」



その時、突如モスラの背後から飛んで来た熱線がモスラに直撃した。



「「はっ・・・」」



この不意打ちにモスラはかなり痛そうに後ろに振り向いた。
そこにいたのは固く拳を握り締めた、怒り心頭のゴジラの姿だった。



グルルルルル・・・



「ゴジラ、すごく怒ってる・・・」
「ゴジラ!モスラはお前が世界を滅ぼしてしまうかもしれなくて、だからお前の力を試しただけなんだ!」
「そうなの!貴方が不安になる気持ちも分かるわ・・・けど、どうかゴジラを認めてあげて!」



ギュオオオオン・・・



するとその時、チャイルドがゴジラに近寄って来た。
チャイルドはゴジラの足を掴むと上を見上げ、怒りに支配されたゴジラを純粋な瞳で見つめる。



ギュアウウウ・・・



「志真さん、あれ・・・」
「あれが、チャイルドが『生きている証』さ。」



ゴジラは拳を握るのを止め、モスラと共に志真を見る。
志真は爽やかな表情で二体を見つめ返し、こう言った。



「なっ、モスラもゴジラも、もう止めようぜ。」



志真のその言葉に、モスラは深く頷いた。
モスラがゴジラと、チャイルドに秘められた「力」を信用し、決して破壊をもたらさないと判断した瞬間だった。



「よし!万事解決!」
「志真さん・・・やっぱり、貴方は凄いです!私はゴジラへの不安から、つい自分が思っていた事を曲げてしまいました・・・ですが志真さんは、最後まで自分を貫き通せる強さを持っていて・・・」
「いや、俺はただ自分のありのままの気持ちを言っただけさ。それに幼いチャイルドだって勇気を振り絞ったんだ。俺も勇気を出しただけ。」
「それでも・・・んっ?ええっ!?」
「どうした?」
「モスラが、近くの町に怪獣が現れると言っています!」
「それは本当か?」



志真の問いかけにモスラは頭を縦に振る。
ゴジラも薄々怪獣の気配を感じているらしい。



「じゃあ、町へ急ごう!ゴジラ、ちょっと俺を運んでくれないか?」
「モスラ、お願いできる?」
15/20ページ
スキ