ゴジラ4‐守護神の祈り‐
一方、魚梁瀬ダムに着いたモスラは空中からゴジラをダムに落とした。
凄まじい水渋きが起こり、貯め込まれた水がダムの外へ溢れだす。
しかしモスラはゴジラを深追いせず、何故か来た道を戻って行った。
その頃、2人とチャイルドは迫る火の手から逃げ惑っていた。
だが火の手は続々と木を薙ぎ倒し、壁となって徐々に彼らを追い込む。
「くっ、こっちも塞がれたか・・・」
「志真さん、こちらも塞がれました!」
ギュアウウウ・・・
「私達、火に囲まれてしまいましたね・・・」
「くっそ!こんな所で天に召されるなんて、御免だからな・・・!」
「おばあちゃん、本当にごめんなさい・・・!」
「諦めたら駄目だ遥ちゃん!最後まで、突破口を探すんだ!」
「は、はい!」
――・・・でも、確かに絶望的な状況だ・・・
四方八方は火、逃げ出す術は炎の中を突っ切るだけ・・・
もちろんそんな事をしたら、火傷なんかじゃ済まない。
けど・・・遥ちゃんと、チャイルドだけは!必ず助けたい!
誰でもいい!この罪の無い二つの命を!助けてやってくれ・・・!
正に絶対絶命であるこの状況下ですら、志真は遥の肩とチャイルドの手を握り、「諦め」の言葉を顔に出さなかった。
諦めずに信じ続ければ、きっと叶うと強く思っているからだ。
カクィオオオオウン・・・
そんな彼らの耳に聞こえて来た声、それは救いの声であった。
「この声は・・・!」
「モスラ!」
彼らが見た者、それは先程までゴジラと交戦していた筈のモスラだった。
モスラはきりもみ飛行で空へ向かうと青い光に包まれ、「アクア」体に姿を変えた。
クィオオオオオオン・・・
四枚の翼に細長い体は、まるでトビウオだ。
空高く進んだモスラは空中で停止すると体の方向を地面へ変え、地面へ落下して行く。
「今度はモスラが魚みたいになった・・・あれが『アクア』体か?」
「・・・モスラが、地面に伏せてと言っています!」
「えっ?」
するとモスラは体を回転させ、水を含んだ竜巻「周乱渦」を起こした。
竜巻は嵐となり、瞬く間に火を消して行く。
「・・・って、こういう事かぁぁぁっ!」
「まるで・・・台風が来たみたい・・・ですね・・・」
「しっかし、あいつは楽しそうだなぁ・・・」
ギュオギュオン・・・
必死に地面にしがみつく2人と対照的に、チャイルドは水浴びでもしているかの様にはしゃぎ回っている。
「チャイルドは子供でも怪獣、サイズが違いますからね・・・」
「はぁ、うらやましいぜ・・・」