亀と獣
タートルズの隠れ家のリビングは、時として彼らのステージに早変わりした。
何気ない日常のちょっとした出来事――ドナテロが難解な発明を成功させた時、マイキーが隠し味の完璧なピザソースを作った時、あるいはパトロールで厄介な連中をうまく撒き切って帰ってきた時。
そんな「嬉しい時」「楽しい時」「何かを成し遂げた時」、彼らは自然と音楽を鳴らし、全身で喜びを表現し出す。
「よっしゃあ! やったぜベイビー!」
マイキーがご機嫌なビートを刻みながら軽快なステップを踏み、それに合わせてレオナルドが鮮やかな回転を披露する。ラファエロは不器用そうに見えながらも意外とキレのある動きでリズムに乗り、ドナテロはガジェットを片手に独自のロボットダンスのような奇妙なポーズで場を盛り上げる。
まるで血が騒ぐのを抑えきれないかのように、四人は楽しそうに跳ね回り、笑い声を響かせていた。
その様子を、リビングの端のソファから、ゆきはぽかんと口を開けて見つめていた。
(すごい……あんなに自由に、身体を動かせるなんて……)
人間の頃から、ゆきは人前で何かを表現するのがとても苦手だった。学校の体育のダンスの授業なんて、周りの目を気にして縮こまっているだけで、リズム感なんてあったもんじゃない。
ましてや猫のミュータントに姿を変えてからは、自分の身体のバランスを取るだけで精一杯だ。嬉しい気持ちが胸にあっても、それをどう外に出していいか分からない。
だけど、あの四人を見ていると、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。むしろ、見ているだけでこちらまで胸が温かくなる。
音楽に合わせ、思いっきり笑い、全身で「楽しい!」を爆発させるラファエロたち。
自分にはあんな風にカッコよく踊る才能も、恥ずかしがらずに騒ぐ度胸もないけれど――。
「おい、ゆき! いつまで端っこで突っ立ってんだよ!」
ふと、ダンスの輪から外れていたラファエロが汗を拭いながらこちらを向き、ガシッと大きな手で手招きした。
「え、私!? いや、私、ダンスとか全然ダメだから……!」
「いいからいいから! 楽しけりゃ踊り方なんて何でもいいんだよ!」
マイキーがいつの間にか背後に回り込み、「ほらほら、体を揺らすだけでいいのさー!」とゆきの両手を引っ張って無理やり輪の中に引きずり出す。
周りではレオナルドやドナテロも「そうそう、気楽にいこうよ」と温かく笑っている。
「もう……!」
気恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらも、ゆきは小さな体をちょこちょこっと動かしてみる。やっぱり彼らのようには上手く踊れなくて、思わず苦笑いを浮かべた。
それでも――。
そんな自分を、四人は「何やってんだよ!」とケラケラ笑いながら、さらに大きな笑顔で包み込んでくれる。
(私には上手に踊れないけど……この人たちと一緒に笑っていられる今の時間が、心の底から大好きだな)
尊敬の眼差しを向けながら、ゆきはぎこちないながらも、自分なりの精一杯のリズムで小さな一歩を踏み出した。
リビングには、タートルズたちの弾けるような笑い声と、温かい音楽がいつまでも響いていた。
何気ない日常のちょっとした出来事――ドナテロが難解な発明を成功させた時、マイキーが隠し味の完璧なピザソースを作った時、あるいはパトロールで厄介な連中をうまく撒き切って帰ってきた時。
そんな「嬉しい時」「楽しい時」「何かを成し遂げた時」、彼らは自然と音楽を鳴らし、全身で喜びを表現し出す。
「よっしゃあ! やったぜベイビー!」
マイキーがご機嫌なビートを刻みながら軽快なステップを踏み、それに合わせてレオナルドが鮮やかな回転を披露する。ラファエロは不器用そうに見えながらも意外とキレのある動きでリズムに乗り、ドナテロはガジェットを片手に独自のロボットダンスのような奇妙なポーズで場を盛り上げる。
まるで血が騒ぐのを抑えきれないかのように、四人は楽しそうに跳ね回り、笑い声を響かせていた。
その様子を、リビングの端のソファから、ゆきはぽかんと口を開けて見つめていた。
(すごい……あんなに自由に、身体を動かせるなんて……)
人間の頃から、ゆきは人前で何かを表現するのがとても苦手だった。学校の体育のダンスの授業なんて、周りの目を気にして縮こまっているだけで、リズム感なんてあったもんじゃない。
ましてや猫のミュータントに姿を変えてからは、自分の身体のバランスを取るだけで精一杯だ。嬉しい気持ちが胸にあっても、それをどう外に出していいか分からない。
だけど、あの四人を見ていると、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。むしろ、見ているだけでこちらまで胸が温かくなる。
音楽に合わせ、思いっきり笑い、全身で「楽しい!」を爆発させるラファエロたち。
自分にはあんな風にカッコよく踊る才能も、恥ずかしがらずに騒ぐ度胸もないけれど――。
「おい、ゆき! いつまで端っこで突っ立ってんだよ!」
ふと、ダンスの輪から外れていたラファエロが汗を拭いながらこちらを向き、ガシッと大きな手で手招きした。
「え、私!? いや、私、ダンスとか全然ダメだから……!」
「いいからいいから! 楽しけりゃ踊り方なんて何でもいいんだよ!」
マイキーがいつの間にか背後に回り込み、「ほらほら、体を揺らすだけでいいのさー!」とゆきの両手を引っ張って無理やり輪の中に引きずり出す。
周りではレオナルドやドナテロも「そうそう、気楽にいこうよ」と温かく笑っている。
「もう……!」
気恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらも、ゆきは小さな体をちょこちょこっと動かしてみる。やっぱり彼らのようには上手く踊れなくて、思わず苦笑いを浮かべた。
それでも――。
そんな自分を、四人は「何やってんだよ!」とケラケラ笑いながら、さらに大きな笑顔で包み込んでくれる。
(私には上手に踊れないけど……この人たちと一緒に笑っていられる今の時間が、心の底から大好きだな)
尊敬の眼差しを向けながら、ゆきはぎこちないながらも、自分なりの精一杯のリズムで小さな一歩を踏み出した。
リビングには、タートルズたちの弾けるような笑い声と、温かい音楽がいつまでも響いていた。
