うさぎのモンスターと骨兄弟
ある冬の日の午後。スノーフルの町は、いつもより少し強い吹雪に見舞われていました。
そんなこととは露知らず、ゆきは町の片隅にある、大きなもみの木の根元でお昼寝をしていました。そこは風が遮られていて、ふかふかの雪が毛布のようで、とっても居心地が良かったのです。
けれど、うっかり深く眠りすぎてしまいました。
「……ん、冷たっ……」
ゆきが目を覚ましたときには、すでに吹雪はピークを迎えていました。
おまけに、寝ている間にしんしんと降り積もった雪が、ゆきの小さな身体をすっぽりと覆い隠し、ガチガチに固まってしまっていたのです。
「う、動けない……! お耳も雪に埋まっちゃって、冷たいよ〜!」
自慢の大きな耳も雪の重みで押さえつけられ、ピコピコ動かすこともできません。文字通り、雪の中に完全に「埋まって」動けなくなってしまったゆきは、頭の先だけを雪からひょっこり出した状態で、「だれか〜! たすけて〜!」と声を張り上げました。
その時、吹雪の向こうからザッ、ザッ、と二つの足音が近づいてきました。
「お、おいサンズ! 前を見て歩け! 吹雪だからといって、寝ながら歩くのは感心せんぞ!」
「へへ、大丈夫だってパピルス。オイラの目(骨)は、ちゃーんと前を……おや?」
足音がピタリと止まりました。
雪から頭だけを覗かせているゆきに、二人が気づいたのです。
「サンズ! パピルス! たすけて〜! 埋まっちゃって動けないの!」
ゆきが必死に訴えると、パピルスは骨の眼窩を限界まで見開いて、大慌てで叫びました。
「な、なんとーーーッ!? 小さなうさぎが、雪だるまの芯のようになっているではないか! 大変だ、今すぐ助け出さねば!」
パピルスがマフラーをなびかせて駆け寄ろうとした、その隣で。
サンズはポケットに両手を突っ込んだまま、ゆきの姿をじーっと見つめ、それから……。
「ぶっ……! ハハハハハ! おいおい、ゆき、お前さん何やってんだよ!」
お腹を抱えて、大爆笑し始めたのです。
「サンズ! 笑ってないで助けてよ〜!」
「ハハハ! いや、ごめん、ごめん。だってさ、お前さん……本当にただの『雪(ゆき)』うさぎになっちまってるんだもん。これじゃあ名前通り、『ゆき(雪)』の一部じゃねえか! ハハハ!」
「おーーーい! サンズ! 冗談を言っている場合か!」
パピルスが怒鳴りながら、サンズをドカドカと踏み越えるようにしてゆきの前に跪きました。
「大丈夫か、ゆき! 今、この偉大なるパピルス様が、超高速骨文字(ほねもじ)スクープで救出してやるからな!」
パピルスは大きな骨の手を優しく、かつものすごいスピードで動かし、ゆきの周りの固まった雪をザッザッと掘り起こしていきました。冷たい雪がゆきの身体に触れないよう、自分の赤いグローブで器用に雪を弾いてくれます。
「ふんぬーーーっ! 救出完了だ!」
スポン! と小気味いい音を立てて、パピルスはゆきの身体を雪から引っ張り出し、そのまま大きな腕でぎゅっと抱きしめました。
「おお、冷たくなっている! ボクのプロフェッショナルな体温(骨だけどな!)で温めてやろう!」
「ぷはっ! ありがとうパピルス! 助かったぁ……!」
パピルスの腕の中で、ゆきはやっと長い耳をピンと立てて、ぶるぶると身体を震わせました。
そんな二人を見ながら、サンズはまだ目元に涙を浮かべてクスクスと笑っています。
「ハハ、悪かったって。でも怪我がなくてよかったよ。……お前さん、お昼寝する場所の『センス(サンズ)』がなさすぎるぜ。次からはオイラみたいに、ちゃんと屋根のあるところでサボりなよ」
「もう! サンズは意地悪だなぁ! でも、今のダジャレはちょっと面白いから許しちゃう!」
パピルスの腕の中でゆきがケラケラと笑うと、パピルスは「ズーーーン!!」と大きなため息をつきました。
「サンズ! キミのくだらないダジャレのせいで、せっかく助けたゆきの脳が凍りついてしまったではないか! さあ、我が家へ行くぞ! 特製のホット・スパゲッティで芯まで温まるのだ!」
「わあ、パピルスのスパゲッティ、たのしみ!」
「フハハハ! そうだろうとも!」
誇らしげに胸を張るパピルスと、その後ろを「そいつは、お腹が『冷や汗(ひやあせ)』モノだな」と呟きながら歩くサンズ。
吹雪のスノーフルはとっても寒かったけれど、二人に挟まれて歩く帰り道は、ゆきにとってどこよりもポカポカとした温かさに満ちていたのでした。
そんなこととは露知らず、ゆきは町の片隅にある、大きなもみの木の根元でお昼寝をしていました。そこは風が遮られていて、ふかふかの雪が毛布のようで、とっても居心地が良かったのです。
けれど、うっかり深く眠りすぎてしまいました。
「……ん、冷たっ……」
ゆきが目を覚ましたときには、すでに吹雪はピークを迎えていました。
おまけに、寝ている間にしんしんと降り積もった雪が、ゆきの小さな身体をすっぽりと覆い隠し、ガチガチに固まってしまっていたのです。
「う、動けない……! お耳も雪に埋まっちゃって、冷たいよ〜!」
自慢の大きな耳も雪の重みで押さえつけられ、ピコピコ動かすこともできません。文字通り、雪の中に完全に「埋まって」動けなくなってしまったゆきは、頭の先だけを雪からひょっこり出した状態で、「だれか〜! たすけて〜!」と声を張り上げました。
その時、吹雪の向こうからザッ、ザッ、と二つの足音が近づいてきました。
「お、おいサンズ! 前を見て歩け! 吹雪だからといって、寝ながら歩くのは感心せんぞ!」
「へへ、大丈夫だってパピルス。オイラの目(骨)は、ちゃーんと前を……おや?」
足音がピタリと止まりました。
雪から頭だけを覗かせているゆきに、二人が気づいたのです。
「サンズ! パピルス! たすけて〜! 埋まっちゃって動けないの!」
ゆきが必死に訴えると、パピルスは骨の眼窩を限界まで見開いて、大慌てで叫びました。
「な、なんとーーーッ!? 小さなうさぎが、雪だるまの芯のようになっているではないか! 大変だ、今すぐ助け出さねば!」
パピルスがマフラーをなびかせて駆け寄ろうとした、その隣で。
サンズはポケットに両手を突っ込んだまま、ゆきの姿をじーっと見つめ、それから……。
「ぶっ……! ハハハハハ! おいおい、ゆき、お前さん何やってんだよ!」
お腹を抱えて、大爆笑し始めたのです。
「サンズ! 笑ってないで助けてよ〜!」
「ハハハ! いや、ごめん、ごめん。だってさ、お前さん……本当にただの『雪(ゆき)』うさぎになっちまってるんだもん。これじゃあ名前通り、『ゆき(雪)』の一部じゃねえか! ハハハ!」
「おーーーい! サンズ! 冗談を言っている場合か!」
パピルスが怒鳴りながら、サンズをドカドカと踏み越えるようにしてゆきの前に跪きました。
「大丈夫か、ゆき! 今、この偉大なるパピルス様が、超高速骨文字(ほねもじ)スクープで救出してやるからな!」
パピルスは大きな骨の手を優しく、かつものすごいスピードで動かし、ゆきの周りの固まった雪をザッザッと掘り起こしていきました。冷たい雪がゆきの身体に触れないよう、自分の赤いグローブで器用に雪を弾いてくれます。
「ふんぬーーーっ! 救出完了だ!」
スポン! と小気味いい音を立てて、パピルスはゆきの身体を雪から引っ張り出し、そのまま大きな腕でぎゅっと抱きしめました。
「おお、冷たくなっている! ボクのプロフェッショナルな体温(骨だけどな!)で温めてやろう!」
「ぷはっ! ありがとうパピルス! 助かったぁ……!」
パピルスの腕の中で、ゆきはやっと長い耳をピンと立てて、ぶるぶると身体を震わせました。
そんな二人を見ながら、サンズはまだ目元に涙を浮かべてクスクスと笑っています。
「ハハ、悪かったって。でも怪我がなくてよかったよ。……お前さん、お昼寝する場所の『センス(サンズ)』がなさすぎるぜ。次からはオイラみたいに、ちゃんと屋根のあるところでサボりなよ」
「もう! サンズは意地悪だなぁ! でも、今のダジャレはちょっと面白いから許しちゃう!」
パピルスの腕の中でゆきがケラケラと笑うと、パピルスは「ズーーーン!!」と大きなため息をつきました。
「サンズ! キミのくだらないダジャレのせいで、せっかく助けたゆきの脳が凍りついてしまったではないか! さあ、我が家へ行くぞ! 特製のホット・スパゲッティで芯まで温まるのだ!」
「わあ、パピルスのスパゲッティ、たのしみ!」
「フハハハ! そうだろうとも!」
誇らしげに胸を張るパピルスと、その後ろを「そいつは、お腹が『冷や汗(ひやあせ)』モノだな」と呟きながら歩くサンズ。
吹雪のスノーフルはとっても寒かったけれど、二人に挟まれて歩く帰り道は、ゆきにとってどこよりもポカポカとした温かさに満ちていたのでした。
