「おばあちゃん、弥生さんとは長い付き合いでね、君の事は昔から聞いてたんだ。
それで、自分に何かあったら君のことを頼むって言われててね。あ、これその手紙」

差し出された手紙は確かに祖母の字で書かれていた。
ちらりと男を見るとどーぞ、と笑うので中に目を通す。

『五条悟様

最後にお会いしてからもう2年になるでしょうか。
私が呪術界から身を引いてもあなたの活躍はよく耳にします。

以前話した孫の伊織の事でお願いがあって厚かましいと思いますが手紙を書かせて頂きました。

伊織には私以上の呪力と術式があります。息子とは違い呪霊もはっきりと視認しているようです。本人は無意識でしょうが最近、術式も扱うようになりました。
病に侵された私の身ではもってあと数ヶ月で、伊織にしてやれることは多くありません。
差し出がましい事とは存じますが私の死後、孫の事をお願い出来ますでしょうか。

呪術師になるならないは本人の自由ですが孫が呪霊から身を守れるように、そして将来自分の力で生きていけるように守り、導き、育てて頂きたいのです。』