自分でもよく分からないんだ、なんでこんなにお前のことを愛おしいと思うのか。いい歳した男がまだ中学生の女の子に夢中なんて、笑っちゃうよね。

最初はただ弥生さんに頼まれたから会いに行っただけ、引き取ってそのまま高専の寮に住ませてそれなりに面倒を見てやるつもりだった。

あの人ほどの愛情を自分が与えてやれるとは思わなかったから。

出来れば愛してあげて欲しい、と言った弥生さんの言葉が男女のそれでは無いことくらいすぐ分かる。分かっているからこそ自分には無理だと思った。

でも葬儀の場でひとり悲しそうな顔を浮かべる伊織を見て、考えが変わる。

僕がこの子を守らないと。

ひとりぼっちになってしまったこの子のそばに僕がいてあげないといけない。

他の誰でもなく、僕がこの子を守り、導き、育て、愛してあげる。

何故かそう思ったんだ。

一緒に住み始めてからますますその気持ちは強くなっていく一方で僕はどうしようもないくらい伊織に惹かれてる。

弥生さんはこうなることが分かって僕に伊織の事を頼んだのかも、なんて今となっては確かめようの無いことを自分に都合良く解釈してしまう。

思えばこれが一目惚れってやつなんだろう、初めての経験過ぎてすぐには気づけなかったよウケるよね。