学校が終わり、スマホを見ると『迎えに行くから、校門のところで待ってて』とメッセージが来ていたので急いで校門に向かうと見慣れた黒い車が止まっていた。

「やっほー！伊織おかえり、今日も頑張ったね！さ、乗って乗って」

そして待ち構えていた悟によって返事をする間もなく車に押し込まれる。
運転手はいつもの伊地知さん、お疲れ様です。

「迎えに来てくれてありがとう、悟。伊地知さんも」

ここで間違っても伊地知に先に礼を言ってはいけない、実際車を運転しているのが伊地知だとしてもだ。
なぜなら悟が拗ねるから。

「いいんだよ、なんたって可愛い伊織の為だからね！」

そう言ってご機嫌な悟にくっつかれながら車に揺られる。
そう言えば…

「お出かけって、どこ行くの？」

「んー、内緒」

そしてやって来たのは六本木。

「伊織、そろそろ夏服必要でしょ？持ってきた服もいいけど僕はもーっとお洒落させたいんだよねえ」

「だからといって六本木に来る必要ある？」

「いいから、ほら行くよ」

「わ、」

ぐっと私の手を引きながらご機嫌な様子の悟は意気揚々と誰もが知るハイブランドショップに入っていく。

こんな所、学生服で来るものじゃない…