車に揺られること15分、着いたのは何だか高そうなマンションだった。
場違い感を感じながら五条に連れられるがまま乗り込んだエレベーターは最上階へと体を運んだ。

「ここが今日から一緒に住むお家だよー、とりあえず必要なものは揃えたけどほしい物があったら遠慮なく言ってね」

「…一緒に、住む」

驚いた、面倒を見るとは言われたがさっき行った高専には寮があるらしいしそこに住むものだと思っていた。
まだ色々と状況を整理出来ていない頭は混乱している。

「…高専って、寮あるんですよね？そこに入れてもらう事は…」

「それはダメ。入学してからならともかく伊織はしばらく僕と一緒に住むの。これはもう決定だからね」

「でも、迷惑じゃ」

「迷惑だったら最初から引き受けてないよ。大丈夫だからここにいな、いいね？」

言いながらくしゃりと頭を撫でてくれる手が暖かくて何故か涙が出そうになったのを隠すように俯いた。

「…うん」