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ランスロット×ヴェイン


「ランちゃん…?」

とさ、とヴェインの肩を押せば素直にソファに倒れこむ身体。

その身体の上に覆いかぶさって、逃がさないようにヴェインの
顔の横に両腕を付く。

好きで、好きで堪らなくて。

幼なじみで、親友で、相棒で…。

それだけじゃなくて、ヴェインの『特別』になりたいと
いつからか、そう思うようになって。

ヴェインは、優しいから。

きっと俺が想いを伝えたら、真剣に考えて悩んでくれるだろう。

それが、俺の望まない答えになってしまったとしても。

「どうしたんだ、ランちゃん…?」

ヴェインの首筋に顔を埋める俺に戸惑いながら様子を伺うのが分かる。

「…なんでも無い…とは言えないけど、少しだけ、このままで居させてくれ。」

今はまだ、ヴェインに嫌われて、距離を取られてしまうのが怖くて、伝えられないけど。

好きで、愛おしくて、大事に、大切にしてやりたい。

そんな風に思うのは、ヴェインお前だけなんだ。

「ランちゃんさー、別に言いたく無いなら言わなくて良いけど、
ひとりで思い詰めるのはやめろよ?
頼りないかもだけど、俺にだって話聞くことはできるんだからさ」

言いながら、俺の頬を両手で包んで視線を合わせてヴェインが言う。

「何言ってんだよ。お前には充分頼ってるだろ?」

騎士団の事だって、私生活の事だって。

ヴェインが常に気を使ってくれているから、俺は人並みの生活が出来ていると実感している。

ヴェイン以上に心を惹かれる人間がこの先居る訳が無いと断言出来てしまう程に。

ヴェインから見て、、『格好いいランちゃん』のままで居たいのに、そんなのはとっくの昔に崩れている。

「なぁ、ヴェイン」
「ん?」
「俺はさ、ヴェインの事が好きで、愛おしくて、大切に、大事にしたい。」

さっきヴェインがしたように、今度は俺がヴェインの頬を両手で包んで視線を合わせる。

そうすれば、俺の言った言葉の意味を理解したのか、ヴェインの顔に熱が集まるのが感じ取れた。

「は…、え…?」
「いつから、なんて覚えて無いけど、俺はとっくにヴェインから見て、『格好いいランちゃん』じゃ無くなってんだよ。
ただただ、ヴェインの事が好きで、幼馴染でも、親友でも、相棒でも無い、新しい関係が欲しい」

ゆっくり、頬をから手を離し、綺麗な柔らかな金の髪へと触れる。

「急に告げて悪いとは思う。だけど、俺はこの先ヴェイン以上に心が惹かれる相手は居ないって思ってるから」
「ランちゃ…」

ヴェインの身体の上から引いて、俺は身体を起こすとそのまま玄関に向かう。

「返事は急がなくていい。ヴェインの心の整理が出来たら聞かせてくれ」

じゃぁな。

そう言って、俺はヴェインの家を出た。

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