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誘われて揺蕩う恋に惑う君

 昔はずっと一緒にいたのにどうして? いじめないでよいじめたくなる

「『ちいさい』と言われてキレる君が好き」なんて言われてキレて最悪

 独り占めしたいと思って隠したら手を噛まれちゃう! かわいい、僕の

 似たほくろをくまなく全身探したい閉じた身体を無理やり開いて

 ひさびさの並び往く帰路ふたりきり「このあいだね」を言えず吸う息

 教室のすみでひとりでいる僕も意識は斜め前にあるのだ

 当てられて「寝てました」って正直な君の机に突っ立つ教科書

 君なんだ君しかいないそれだけだ布団を湿らす夜が深まる

 足の指を見つめる上からの唇が突き出してひどく欲情している

 マフラーを奪われた冬越して春、帰ってきたそれは君の香り

 級友を殴ってまわる夢を見た翌朝はどうも生き生きしている

 幼い日ふたりで通った駄菓子屋の『閉店』の文字が雨で滲んで

 繋がって離れて繋がるゆらいでく「そばにいるよ」は君から欲しい

 長距離で走る長くて細い足がゆらめいている、幻覚をみた

「いやだ」って本気で言っても可愛くて怖くなるよ、やめられなくて

 もこもこの上着にだって嫉妬するお前はだれにも負けないね

 ひよこ組だった俺たちは背伸びして一年二組と喧嘩ていた

 しわくちゃの進路希望を盗み見ておんなじ文字を丁寧に書く

 心にはさわれなくても構わないそばに体温があればじゅうぶん

 ひとまわりもふたまわりもでかい手が俺を掴むと心臓が潰れ
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