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誘われて揺蕩う恋に惑う君

 ぼくたちは同じ細胞から生まれ恋をするほど混ざり溶け合う

 声に出し「信じているよ」と言えば言うほどにくっつく僕のまぶた

 手で触り顔の形を確かめて「ああ、弟だ」と安心していた

 小雨の日、濡れて歩くのが好きなんだ。だってたくさん触れているから

 一枚の紙につぶが浮き上がりなぞったら消えた「こわしてほしい」

 今ふたり同時に死んで生まれてもきっと一緒になってしまうよ

 盲目の恋の香りはカモミール乙女心をどこで教わる

 透明の息吐く空には雲ひとつないのに落ちるひとしずく、頬

 抱きしめる権利があればよかったな「どうしたの」って聞かれずに済む

 乱暴にあなたの恋路を奪っても自分の想いは鞄の底に

 俯いた額に髪の影が落ち揺れる瞳がこちらを見ている

 唯一の理解者は僕だと言って千切れるほどに強く愛して

 送り出す血液の量が増えていく同じくちびるにキスをしたから

 海岸で袖を掴んではしゃぐ兄は見えない恐れを受け入れている

 僕だけは彼の味方でいようって決めた十四の夜を愛して

 焦点の合わない薄く黒い目は僕を捉えて離さないのに

 息吐いて息止めて生きのびた朝、私は未だ光を夢見て

「髪を触るのが好き」って微笑んで汗ばむ頭皮を優しく撫ぜる

 手探りで僕の在り処を探してる可愛いあなたに意地悪をする

 見つめ合うことができない僕らでもつながっているふりだけさせて
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