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誘われて揺蕩う恋に惑う君

 待ち伏せて横顔をただ見ていたらきゅっと弾けた刺さる太陽

 喉の奥から這い出るそれは悪夢 そよ風のような声に縋って

 まばたきでひとつぶ落ちる、線になる涙のみちが君の往くみち

 整然と落書きされた室外機ぼくはここらで朽ちて果てたい

 座り込み乾くのを待つ白い袖はやくおいでよもっと濡れよう

 君の目が鋭く光るライティング命が強くて解釈違い

 一ミリと君が減るのが不愉快な気持ちと相反してる鼓動

 儚くて一途な君を収めてるフィルムを自分で現像したい

 雨ざらしになった黄色いぎすぎすの髪から滴るそれは涙

 新緑の色した瞳が囁いた「ねえ、一緒に遠くへ行こうよ」

 沈んでく心を引っ張り上げる手はささくれがひどくてかわいい

 羨望を自分のものにしたところでからっぽの箱は埋まらない

 骨ばったひざの近くにあざがありそれを大切に抱えている

 漆黒の滑らかな体を撫でるその白い手をぼくにもちょうだい

 爛爛と爛れていくは僕の喉 それでも君を抱き寄せるんだ

 輪郭がぼやけて消える逆光の写真のふちで笑う爪先

 三脚を担ぐあなたの二の腕がいやに細くて目を逸らした

 アルバムの陽に薄焼けたプリントが海へ還るの待っているんだ

 ディスプレイにあなたの顔が映る ぼく ぼく あなた ぼく あなた ぼく

 ひとりきり泣いているのよ恋してる乙女ではない唯一無二の
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